鉄道+バスで地方の「交通難民」を救えるか 有志の経営者が挑む、地域交通再生の試み
だが、データが集まっても、問題点が見えてこない。分析のノウハウがなかったのだ。そこで埼玉大学と共同で分析を行ったところ、いくつかの事実が浮かび上がってきた。たとえば、まったく利用されていない停留所が複数存在する、到着時刻が慢性的に遅れている停留所がある、といったものである。
問題点が明らかになったあとは、改善策を即実行。改善結果のデータを収集し、分析し、また改善策を考えるという、PDCA(Plan Do Check Act)サイクルを毎年繰り返すことで、少しずつ問題を解決していった。
ハブ停留所で輸送量は大幅増
具体的な改善策を挙げると、たとえばハブアンドスポークス戦略。町の真ん中にハブ停留所を設置し、ここですべての車両を乗り換えることで車両数を大きく増加させずに輸送量を1.5~3倍に増やした。
また、ハブ停留所にはコンビニやクリニック、飲食店などを併設し、利用者増につなげた。路線バスとデマンドバスを組み合わせて、朝の通勤時間だけを路線バスで走り、昼はデマンドで運行して利便性確保と運行経費削減を図った。
さらに、山岳地域であれば、地元の利用客が少ない昼間は登山者の利用を促すPRを行うといったアイデアも出た。バス会社単独では困難であっても、地域全体を巻きこめば、こうした対策は実行可能となる。
4月からは、乗客が希望すれば、終点から先に延伸運行する「おでかけサポート便」というサービスを日高―飯能線で開始した。延伸区間は高台を走る。従来はバス終点から坂道を上る必要があったため、荷物が多い人や高齢者にとっては便利に違いない。
イーグルバスのようにさまざまな工夫を施せば、鉄道廃止後の代替バスも健闘できるかもしれない。あるいは、イーグルバスが鉄道事業に進出すれば、赤字路線を立て直せるのではないか。
これから鉄道事業に進出するバス会社は実際にある。“バス業界の革命児”ウィラー・アライアンスだ。同社は高速バス市場を率先して開拓してきたが、2015年春からは赤字続きの北近畿タンゴ鉄道の運行受託することが決まっている。
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