鉄道+バスで地方の「交通難民」を救えるか 有志の経営者が挑む、地域交通再生の試み

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受託会社の募集に際して、鉄道会社からの応募は1社もなかった。だが、ウィラーの村瀬茂高社長は、「鉄道を軸として、そこへ機動力のある路線バスをスムーズにつなげば駅へのアクセスがよくなり、利用客を増やせる」と考えている。

工夫を凝らして赤字幅削減

ひょっとしたら、鉄道とバスが連携することで、赤字ローカル線の利用者減少に歯止めをかけることができるのではないか。

この点について、秋田県の第三セクター鉄道・由利高原鉄道社長で交通まちづくり戦略会議の理事長も務める春田啓郎氏に意見を求めたところ、同社でも、最近になって貸し切りバス事業ができるように定款を変更したという。「自宅が駅から遠いので鉄道を利用してもらえない人には、貸し切りバスが自宅近くまで迎えに行き、駅まで送るといったことを検討している」と、春田社長は語る。

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由利高原鉄道は、さまざまな工夫によって赤字幅を縮小している

由利高原鉄道・鳥海山ろく線も赤字に苦しむローカル線。年間の利用者は最盛期の64万人から現在は半分以下の26万人に減った。「赤字解消はどうやっても無理」(春田社長)という状況だ。

それでも、第2種旅行業の登録を行い、自らツアーを企画・募集できるようにしたり、保育園に営業をかけて子供たちに1区間でも2区間でも乗ってもらう、切符はファンに人気の高い硬券にして切符目的の売り上げ増を狙う、などの施策を次々と繰り出し、毎年少しずつだが赤字を減らしている。

谷島社長と春田社長には意外な共通点がある。両氏ともかつて東急観光で働いており、現在の会社に転職したという点だ。「フットワークが軽い旅行会社出身だから、いろいろな手が打てるんですかね」と、谷島社長は言う。

ローカル線の赤字は、地方の人口減少やモータリゼーションといった構造的要因によるところが大きい。個社の経営努力で改善できる部分は限られるが、それでも知恵を絞れば現状を打開できるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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