「銀行にお金を預けるのが損」だとわかる納得理由 今の金利はバブル期の「4000分の1」しかない

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渡邊:じつは、それがお金の正体です。お金はモノやサービスと交換して、初めて価値があるものになるんです。たとえば、大卒の初任給が20万円だとします。初めてもらった給料って嬉しくなかったですか?

――そうですね。初めてもらった給料は嬉しかったです。ふふふ、じつは未だに初任給は、そっくりそのまま銀行に預金してるんですよ!

渡邊:え! それはすごい……。で、では、同じ20万円の初任給をもらったとしても、ジュース1本が20万円だったとしたらどうでしょう?

――まさか! 1か月がんばって働いた給料で、ジュース1本ですか? それでしたら20万円の給料はまったく嬉しくないですね。でも、そんなに急激にモノの値段が上がることってあるんですか?

渡邊:たしかに、ジュース1本が20万円というのは現実的ではないかもしれません。しかし、モノの値段って、毎日同じでしょうか? たとえば、車に乗る人はガソリン価格、主婦の人はスーパーでの野菜の値段、旅行好きの人は海外旅行の値段を想像してみてください。レギュラーガソリン1リットルの値段が、100円から150円に値上がりすると50%の値上がりになります。キャベツ一玉の値段が100円から200円になれば、100%の値上がりです。このくらいの価格変動は、実際にあり得る話ですよね。

――そう言われてみれば、モノの値段は日々変動していますね。

渡邊:ガソリン価格は原油価格によって変わりますし、野菜の値段は天候や災害などに左右されます。海外旅行も為替の影響を受けますね。このように、私たちの身の回りにあるモノやサービスの価格は、つねに変化しているのです。

――あまり意識をしたことはなかったですが、たしかにモノやサービスの価格は毎日同じではないですね。

渡邊:もしも、お金自体に価値があるのなら、1万円で買えるモノやサービスは、つねに同じでなければおかしいですよね。お金の価値がつねに一定であれば、「今日は安い」とか「今日は高い」と感じることはないはずなんです。

「今のお金」と「過去のお金」の価値は違う

――少しお金の正体がわかってきたような気がします。お金の価値は、モノやサービスの値段によって変わるということですね。ん? あれ、ということは……?

渡邊:お、何か気づきました?

――僕が銀行に預けている初任給の価値も、当時とは変わっているということ?

渡邊:ええ、その通りです。もちろん、それは丑久保さんだけの話ではありません。銀行に預金をしておけば安全だと思っている人も多いと思いますが、そんなことはないんです。たしかに、銀行に100万円を預けておけば預金残高は減りませんが、モノやサービスの値段は変化していますからね。物価が上がれば銀行に預けているお金の価値は減ってしまいますし、反対に、物価が下がればお金の価値は増えます。

――じゃあ、物価って上がることのほうが多いから……。

渡邊:はい。残念ながら、お金の価値は減っています。丑久保さんが銀行に預けた初任給の価値は、当時と比べて下がっていると考えられますね。もちろん、最低限の生活費くらいは、預金に置いておいたほうがいいとは思います。しかし、預金残高だけに注目している人は、お金自体に価値があると思っている人なのです。

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