「銀行にお金を預けるのが損」だとわかる納得理由 今の金利はバブル期の「4000分の1」しかない

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――あ、でも銀行預金には利子ってありますよね。たとえば、僕の20万円に年間1%の金利がついてれば、物価の上昇に対抗できませんか?

渡邊:そうですね。一概には言えませんが、丑久保さんが初任給20万円を、その条件で10年間預けていたとしましょう。税引きとかもありますが、だいたい21万6000円くらいにはなります。ただ問題は、今の銀行預金の金利が低いことなんです。1%も金利がある大手銀行なんてありません。

銀行に預けてもお金がまったく増えない理由

――たしかに。銀行にお金を預けていて、お金が増えたと感じたことはないです。銀行の金利って、昔からこんなに低かったんですか?

渡邊:いいえ、そんなことありません。私は実際に経験したことはないのですが、バブル期の銀行の金利はものすごく高かったんですよ。銀行の定期預金の金利が6%、郵便局の定期貯金の金利は8%もあったのです。

――そんなに高かったんですか! うらやましい時代ですね。今って……。

渡邊:今現在(2021年7月)、大手銀行の定期預金の金利は0.002%です。バブル期の8%と比較すると、4000分の1の金利しかつきません。

――そんな低い金利しかつかないなら、預金でお金が増えるはずないです!

渡邊:ええ、その通りです。私たちの親世代やバブルを経験した人たちは「預金をしときなさい」が口癖でしたが、正直なところ、今の金利で預金をしたとしても「今は預金でお金が増える時代ではない」というのが現実です。金利が高いか低いかで、実際どのくらい私たちの生活に差が出るのかを具体的な数字で比較してみましょう。少し前に、老後2000万円問題が話題になりましたよね?

――はい。安心した老後を送るには「年金プラス貯蓄残高が2000万円くらい必要」と話題になったニュースですね。

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渡邊:そうです。もし今現在1000万円の資産があるとして、預金だけで2000万円を準備しようとした場合、8%の金利と0.002%の金利で、どのくらい差が出るのかわかりますか?

――えーっと……。どのくらいかはわかりませんが、けっこうな差が出ます!

渡邊:(い、潔い!)金利が8%の場合は9年で2000万円を準備できるのに対して、金利が0.002%の場合は3万6000年もかかってしまうのです。

――3万6000年!? それって、僕たちが生きている間には、絶対に実現不可能じゃないですか!

渡邊:そうです。預金と投資の違いを簡単に説明すると、今現在の金利水準が続いている間に資産が2倍になることはないのが預金、資産が2倍になる可能性があるのが投資なのです。

渡邊 一慶 ファイナンシャル・プランナー

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わたなべ かずよし / Kazuyoshi Watanabe

株式会社マネージュ代表取締役社長、ファイナンシャル・プランナー、マネー教育アドバイザー。1983年、愛知県生まれ。関西外国語大学を卒業後、三菱UFJ証券に入社。アメリカのシティバンク銀行からヘッドハンティングされて転職。その後、プライベートバンク世界最大手・スイスのUBS銀行へ転職を決断。クライアントアドバイザーとして、金融資産2億円以上の富裕層顧客の資産管理を担当。2016年に独立して現職。日本では珍しいマネー教育に特化したファイナンシャル・プランナーとして活動。

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