「iPhone 13」の選び方と使って実感した超進化 ディスプレーが「まったく新しいモノ」になった

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仕組みについて難しく説明してしまったが、撮影したシネマティックモードのビデオは明らかに今までのスマホビデオとは異なる被写体の迫力を切り取ることができ、かつ編集しなくても映像に撮影者の‟意図”が込められる。15秒撮影して、そのままSNSに共有しても様になるのだ。

ただ撮影するだけで、映像作品になる。確かに、シネマティックモードの名前に納得できる。

アップルは、既に実現している自社のカーボンニュートラルに加えて、2030年までに全てのサプライヤーについてカーボンニュートラル化することを宣言し、取り組みを開始している。iPhoneに関わるあらゆるプロセスから、二酸化炭素排出の排除に動き出しているのだ。

2020年は、iPhoneの箱が大幅に小さくなった。これも、輸送用の航空機で倍のiPhoneを運搬できるようにすることで、燃料費を削減するための取り組みだ。

2021年モデルのiPhoneでは、箱のビニール包装を廃止し、それだけで600トンものプラスティックを削減した。さらに、iPhoneの側面に見られるアンテナのためのパーツは、ペットボトルを原材料に再生されたプラスティックが用いられている。これは業界初の試みだという。

金やタングステン、その他のレアアースなども100%リサイクル材料を用いており、アップルは過去のiPhoneから、現在のiPhoneの材料を採掘するサイクルがより推し進められている形だ。

iPhone製造のために削り出されたアルミニウムを再資源化し、iPadやMacのフレームへ再利用するサイクルも回り出しており、iPhoneのみならず、アップル製品全体で、資源循環の仕組みが強化されていることがわかる。

ライフスタイルに合わせた選択とは

iPhone 13シリーズの、新しいデザインや機能について解説してきた。今回もっとも注目すべきは、大きな飛躍を遂げている6.1インチモデルのiPhone 13 Proだ。

センサーが2段階拡大したカメラ性能の強化でiPhone 13 Pro Maxと差がなくなった点や、明るくなった画面、ProMotionによる病みつきになるほどの滑らかな表示、バッテリー持続時間強化といった機能の優位性が充実しながら、6.1インチと最上位モデルよりも取り回しやすいサイズに収まっている点が評価できる。

長らく最大サイズのiPhoneを選んできた筆者も、今年はiPhoneを6.1インチモデルにして、読書などには同時に発売されるiPad miniを利用しようか、と考えているほどだ。

ただ、シリーズ全体の競争力強化も目立つ。

新しいセンサーシフト式手ぶれ補正を備える広角カメラやA15 BionicはiPhone 13 mini、iPhone 13にも採用されており、前述のシネマティックモードでのビデオ撮影やフォトグラフィックスタイルは、Proモデルと同様に楽しむことができる。

バッテリー持続時間はiPhone 13で2.5時間、iPhone 13 miniで1.5時間伸びており、5.4インチの小型・軽量モデルやシンプルな6.1インチを選んでも、2021年のiPhoneの体験を十分楽しめるはずだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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