本当に有能なリーダーは「忙しい」といわない理由 一般的な管理職の6割は忙しさを口にするが…

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そこで、「話しかけやすい5%リーダー」たちの行動履歴をさらに深掘りしました。

すると、同じ職種の方に比べて業務量は若干多いことがわかりました。配下のメンバーも多く、対応すべき商品ラインナップや顧客数なども決して少なくありません。そして、かなり多くの会議が入っていました。

しかし、カレンダーは15分刻みになっており、こまめにすき間時間がありました。

アウトルックやGoogle カレンダーでは初期設定が1時間刻みになっていますが、5%リーダーは初期設定を変えて15分刻みにしている方が多かったです。

もちろんすべての5%リーダーではありませんが、私が確認した5%リーダーの31%が15分設定にしていました。

15分刻みの設定にしていた5%リーダーに話を伺ってみると、打ち合わせが入らない時間をわざと作り出しているようでした。

ヒアリングでは、「たまたま時間が空いただけ」「会議時間を短くしたいから」といった回答が多く、これは5%社員と同じ傾向でした。しかし、この行為の目的が何か追求したときに、5%社員との違いが明確になりました。

すき間時間は「話しかけられる」ための時間

5%リーダーは自分のためにすき間時間を作っているのではなく、メンバーから「気軽に話しかけられる時間」を作っているとことがわかったのです。

自分から積極的に話しかけることよりも、話しかけかけられやすい雰囲気や時間を作るように彼らは工夫していたのです。

たしかにメンバーから見て、予定がきっちり詰まっている上司よりも、すき間時間がある上司のほうが話しかけやすいのは明確です。

5%リーダーは、話すことよりも話しかけられることを重視する人たちです。

だから時間の余裕があることをあえて見せていました。

時間的な余裕を生み出すために会議改革や、資料テンプレートの統一などに取り組んでいることもわかりました。

5%リーダーは、チーム全体の「時間的余裕」を生み出すためにさまざまな工夫をしていたわけです。

こういったことを感じ取るメンバーは必ずいます。

自分たちのために時間の使い方を工夫して、時間と気持ちの余裕を作ることに力を注いでいる上司を見れば、自然と信頼と感謝が高まります。

こうして、実際は忙しくても忙しい素振りを見せず、自ら率先して「すきま時間」を作り出すことで、メンバーから話しかけられやすい間を作っていたのです。

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