一般に「いい住宅地」と言っても、人によって思い浮かべる場所は違う。東京商工リサーチの「社長が住む街」調査によると、2003年は田園調布と成城と大泉学園のトップ3だったが、2017年は赤坂と西新宿と六本木に変わり、都心回帰が顕著な傾向になっている。これは戸建て立地とマンション立地に置き換えることができる。都心と言っても定義は人それぞれだが、山手線の内側かつ中央線の南側エリアであれば安心感がある。
「いい住宅地」は郊外では戸建立地だが、都心寄りではマンション立地となる。これを取り違えて郊外の高級住宅地にマンションを買う人がいるが、これが最も失敗ケースになりやすい。戸建て立地では高さ規制がある場合が多く、タワーマンションを建てられない。そのため、そもそも資産価値のあるマンションが出現しにくいのだ。
こうしたロケーションで、日本で一番良い場所は以前から決まっている。それは皇居に臨む場所だ。1周5kmの中でも皇居に面する住宅地は1か所しかない。それは千鳥ヶ淵だ。窓からは皇居の緑と青い空しか見えないので、窓枠を額縁にした美術品と評されたこともある。
これに次ぐロケーションはブランド駅直結になる。「渋谷駅直結」や「虎ノ門ヒルズ駅に最も近い」などの立地の売り文句は半永久的な競争優位なポジションを確立することができる。そうした物件は億ションの資産価値を守り続けることができる。
「駅近タワー」の圧倒的な強さ
1億円の中古成約戸数が多い駅で山手線の外側は非常に少ない。勝どき、月島などの中央区、代官山、中目黒などの目黒区などに限られる。これらの駅周辺の物件には特徴がある。タワーが多いことだ。
駅は山手線内側という条件が有利だったが、億ションには物件の特徴が顕著にある。それがタワーである。タワーで最も重要な選定ポイントは目立つことだ。例えば、元麻布ヒルズフォレストタワーという上層階の方が太くなったマンションがある。高台の上にあり、形状が変わっているので非常に目立つが、29階しかない。こうした「一目置かれる物件」を好む人は少なくない。
このように、億ションとして中古成約した戸数が多い物件はほとんどタワー物件になる。これは圧倒的と言っても過言ではないレベルだ。
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