映画の「ランボー」がリーダーには不向きな理由 「さりげなく」「繊細な」声掛けが部下を動かす

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どの例でも、後者のほうが若干間接的なアプローチになっている。それが本質的に行っているのは会話の糸口づくりであり、議論の扉を開くことであり、直接的なアプローチで刺激されがちな相手の防御を解くことだ。

ひとたび議論が始まれば、相手を会話に引き込みながら、あなたの考えやアイデアを提示できる。もしあなたのやり方や技術や計画が相手のよりも優れていたら、それはおのずとあきらかになる。そうなれば、あなたが指導しようと思っている相手は、あなたのアイデアを受け入れやすくなるだろう。

そして時とともに、あなたは徐々に相手をあなたの考え方に引き寄せることができる。そうした間接的なアプローチのほうが、指導やコーチングを頭ごなしに押しつけるより、相手にとってはずっと受け入れやすいはずだ。

自分にぜひリーダーシップを指導してほしいと、心から請願してくる相手に出会うこともときにはあるかもしれない。そういう場合はもちろん、もっと直接的かつ直球的なアプローチをとってかまわない。

ただ、そうした状況でも注意は必要だ。人は自分から批評をしてもらいにきたのに、じっさいに批評されると傷つけられたように感じることがある。だから、注意を怠らず、つねにソフトなアプローチから入るように心がけなければならない。

私に対してリーダーシップや戦略や戦術のおおかたを教えてくれた人々は、だれひとり、おまえに指導やコーチをしてやっているというあからさまな態度をとらなかった。彼らは私を巧妙に導きながら、私がそれと気づかないうちに、私の頭を知識で満たしてくれた。

彼らは私に教えることなく、でも着実に教えてくれた。彼らは私の頭の中にさまざまな考えをじつにさりげなく詰め込んでくれたので、私はまるでそれが自身の考えであるかのように感じていた。それこそが、いちばん強力な教え方であり、いちばん強力な指導やコーチングの仕方であるはずだ。

最善のリーダーは命令ではなく提案する

私が一緒に仕事した最善のリーダーらのことを思い返すと、その指導の仕方はきわめてさりげなかった。何をしろだとか、このようなやり方でしろなどの、直接的な命令の仕方をされることはほとんどなかったように思う。

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