今年は株価上昇でも来年一時急落すると見るワケ 日経平均やNYダウの「高値と安値」はどうなる?
日本も世界経済回復の恩恵を受けており、とくに大企業製造業は、日本が得意とする設備機械やそれを支える機械部品・電子部品の輸出が増加している。そのため、製造業中心の企業収益の回復が見込まれており、東証1部全銘柄について上記と同様の集計値を見ると45%増益が予想されている。
このため、日米ともに年末に向けて株価上昇を見込んではいるわけだが、その上昇力は限定的だろう。というのは、世界経済と企業収益の回復はすでに市場で相当織り込まれているからだ。とくにアメリカ株のPER(株価収益率)の水準自体は高い。
ニューヨーク(NY)ダウ工業株指数の年内高値は3万7000ドルで想定している。これは先週末終値から5%弱高い水準にすぎない。
日経平均株価については、年内に3万円の大台を超えると予想している。ただ高値メドを3万1000円には置いてはいるものの、今年の高値(ザラ場ベースで2月16日の3万0714円)に達することができるかどうかは、かなり微妙な情勢だ。仮にそれを上抜けて3万1000円に達することができたとしても、それは先週末の水準から1割強高いだけだ。
日本株が上昇色を濃くするのはもう少し先か
とくに日本株については、10月辺りまでは上昇というより横ばいに近い展開に陥りかねない。ただ、その後は若干ながら、横ばいより上昇の度合いが強まろう。
というのは、まず日本特有のリスクとして、政治情勢が挙げられる。足元は、とくに菅義偉政権の経済政策に期待して株価が支えられているという状況ではない。逆にいえば、もし菅首相が交代したとしても、株価が下落することもないだろう。実際、8月22日の横浜市長選挙で菅首相が支持する候補が敗れても、翌日の日本株は上昇した。
それでも、9月29日の自民党総裁選挙、その後と見込まれる総選挙(10月投開票か)が終わるまでは、結果が出ていない分だけ不透明で、日本株を大きく買い上げる材料にはならない(衆議院議員の任期満了選挙か、それとも9月解散か、仮に9月解散の場合、総裁選の延期はないかなど、スケジュール自体もある程度不透明だ)。
このため、逆に選挙がすべて終われば、結果がどうあれ、不透明ではなくなる。したがって、国内外の投資家が日本株の売買について判断がしやすくなり、株価の持ち上がり度合いが若干でも増すと想定される。
また、前述のように日本の企業収益見通しはかなり明るくなっているが、まだ投資家は疑心暗鬼のようだ。4~6月期の企業収益が7~8月に発表され、自社の収益見通しを大きく上方修正した企業などは株価が直後に上昇したが、その勢いが長続きしなかった銘柄が多かった印象だ。しかし、さすがに4~9月期の半年分の業績が10~11月に公表されて、収益改善が一段と如実に示されれば、日本株全般に上昇力が強まりそうだ。
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