爆上げ海運株は高利回り株の魅力を維持できるか 今年度は今なら7~8%の配当は「当たり前」
今回も海運株についてとりあげてみたい。海運株については、約1カ月前の7月15日に「ぶっちぎりで上昇した海運株の今後はどうなるか」のタイトルで寄稿した。理由は日経平均株価が6月の月間騰落率で見て0.23%下落、TOPIX(東証株価指数)が同1.07%上昇にとどまったなか、海運業は23.96%上昇と、33業種のなかでトップの上昇率となったからだ。
8月に入り海運株の評価が一変したが、まだ出遅れ?
では、7月の月間騰落率はどうだったか。日経平均株価は5.23%下落、TOPIXも同2.18%下落したなか、海運業は3.35%の逆行高と、33業種で2カ月連続トップの上昇率となった。すでに海運株にはかなり強気なコメントをしていたのだが、読者の反応はといえば、ほとんど興味がないか、様子見が多かったように思う。
だが8月以降、特にこの半月程度で流れが大きく変わった。商船三井(9104)、川崎汽船(9107)、日本郵船(9101)などの海運株が軒並み急騰したためだ。やっとマーケットで海運株が注目を集め始めたようだ。新聞記者などから海運株についての電話取材も増え、テレビなどでも解説することが、かなり増えた。
実際、東証33業種の中で海運業の8月月間騰落率(8月13日終値時点)は、33.53%も上昇。33業種のなかで、またもやぶっちぎりでトップの上昇率となったのだ。ちなみに同期間の日経平均株価は2.54%上昇、TOPIXは2.90%上昇にとどまっている。
このように海運株は急騰しているが、実は2008年高値からの長期チャートで見ると、出遅れているようにみえる。実際、8月12日には「国内海運首位の 日本郵船が13年ぶりの高値をつけた」と、ようやく市場でも話題になりはじめたところだ。
では、海運株はこれから買ってもいいのだろうか。まずはこの8月になって急騰した理由から詳しく見ていこう。ひとことでいえば、海運株急騰の理由は、決算で業績の急回復が誰の目にも明らかになり、本来の企業価値と現在の株価を比較した際に、相当な割安感が台頭したためだ。また、財務体質の改善による増配が予想されていることも、株価上昇の要因になってきたとみるべきだ。実際、東証1部の配当利回りランキングでは日本郵船が1位、商船三井が2位となるなど、メガバンクや大手商社のそれを大きく上回っている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら