爆上げ海運株は高利回り株の魅力を維持できるか

今年度は今なら7~8%の配当は「当たり前」

具体的に、海運株の主要3社のサプライズ決算発表を見ていこう。まず、7月30日に商船三井が決算を発表。今2022年3月期の業績予想を上方修正。理由はコンテナ船の荷動きと運賃が想定を超えて推移し、コンテナ船事業運営会社であるONEの持ち分法投資損益が改善したことが大きい。今3月期の第1四半期純利益は1041億円で着地。通期予想に占める進捗率は31.1%、通期の純利益は3350億円の予想(272%増益)となった。

同社の配当の増額はすさまじかった。今期は150円からなんと550円に増配(配当性向19.7%)。その後急騰したが、8月13日現在の配当利回りはなお7.53%もある。しかも、梅村尚最高財務責任者(CFO)は「財務体質が改善すれば、(従来どおりの方針である)配当性向20%にはこだわらない」とコメントした。

次に8月4日の川崎汽船はどうだったか。今3月期の第1四半期は純利益が1019億円で着地(通期計画進捗率38.5%)。通期の純利益予想は2650億円(143%増益へ)とした。ただし、前期まで連続無配のなか、今期配当は未定としたため、8月4日の株価は一時10%下落した。

最後に同日に決算発表した日本郵船はどうだったか。同社は今3月期の第1四半期決算と同時に会社計画の上方修正、増配もあわせて発表。第1四半期の純利益は1510億円で着地(年間計画に対する進捗率30.2%)、コンテナ船運賃の急騰などから、通期の純利益は5000億円の予想とした。

この額は前期比では3608億円増の259%増益となり、過去最高を大幅更新する予想となった。今期の配当もサプライズで、従来の200円から700円とに3.5倍に増配(配当性向では23.6%)。これを好感して、株価はこの日、一時前日比13%高まで急伸した。それでも8月13日現在の配当利回りは8.71%もある。

同社の、コンテナ船持ち分法適用会社ONEの好調を理由とする上方修正は、7月30日に発表済みの商船三井の開示資料からもある程度織り込み済みだったとはいえ、今後も当面は市況が大きく崩れる可能性は少なく、今3月期の会社修正予想と配当予想にそれなりに織り込まれた格好だ。

だが「定期船事業」での会社計画利益2465億円は、上記ONE社の当期純利益見通し約60億ドルに沿ういっぽうで、下期の同事業利益は上期比58.6%減の1020億円とした。この理由は3Q以降にコンテナ運賃が徐々に正常化に向かう前提で見込んだためだ。商船三井や川崎汽船も同様の見通しを立てているが、これらは慎重で、さらなる上方修正を期待していいだろう。

実際、日本郵船の長澤仁志社長も「配当性向25%では十分に(株主)還元できているとは言えない。配当性向の引き上げや、自己株買いを組み合わせ、総還元性向で考えていく必要がある」とコメントしている。

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