今年は株価上昇でも来年一時急落すると見るワケ 日経平均やNYダウの「高値と安値」はどうなる?

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こうした点から、10月初め辺りでも日経平均は2万8000円を何とか超えた程度の青息吐息かもしれないが、その後は年末に向けて3万円超えを目指すと見込んでいるわけだ。

もちろん、株価の上昇力が予想より限定的で、「年末の日経平均の水準は今よりは高いが3万円に届かない」という可能性も、残念ながら高まっているように感じられる。ただ、今のところメインシナリオとしては「3万円超え」を変えていない。

これまで当コラムで何度か述べたように、日本株の投資家にとって年内で最も重要なのは「買い持ちしてじっと待つ」という忍耐だろう。個別銘柄では株価が大きく上下するものが多くあろうが、全体論としては、買いから入って大儲けをするのは難しく、売りから入って儲けることはさらに難しい。

最近のリスク要因と来年の株価下振れシナリオの関係

さて、ここで主な世界的リスクを2つほど挙げ、それが前述のような来年の主要国の株価下振れシナリオと関係しているのかどうかを、述べてみたい。

1つ目は、アメリカの金融政策だ。7月に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨が8月18日に公表され、「年内にもテーパリング(緩和縮小)を開始することが妥当」との意見が多数であったことが判明した。

この日の同国の株価指数は反落したが、アメリカ国債やドル相場はほぼ無風だった。実はこの前から、市場参加者や専門家の間で「年内のテーパリング開始」を見込んでいた向きは多く、議事要旨がサプライズであったはずはない。

実際に何が起こって株価が下落したかといえば、もともと同国の株価指数がたびたび史上最高値を更新して高値警戒感があり、いったん利食い売りしたい投資家が多かったところ、議事要旨が単なる売りの「ネタ」にされた、ということなのだろう。

その後に株価が持ち直したことや、8月27日のジャクソンホール会合におけるジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の講演で市場が波乱に見舞われなかったことは、そうした見解を裏付けているといえる。

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