「発達障害の弁護士」が語る「無理解な職場」の実態 「治るまで出社しないで」と指示する上司も!

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雇用後に障害が判明しても、会社には合理的配慮の義務があります。

このようなケースは、障害者雇用促進法に違反する可能性があります。ジョブコーチ(職場適応援助者)や医師を通じて、修正の対応を会社にはたらきかけることもできます。それでも会社側が非を認めない場合には、裁判で是正してもらうこともあります。

こだわりの強さから職場で孤立してしまうことも

日野アビリティ法律事務所・伊藤克之弁護士(写真:弁護士ドットコムニュース編集部)

――会社ではなく、本人にトラブルの原因がある場合は?

自身の障害特性を理解できていないと、トラブルになりやすいです。

自分自身で特性を理解したら、自分の「取扱説明書」を作成して、適切な配慮を求められます。職場の全員に伝えなくても、直属の上司に適切な配慮を求め、理解してもらえれば、上司を通じて働きやすい環境ができることでしょう。

しかし、自分が理解できていなければ、そのような環境を作ってもらうことも難しいわけです。

――本人の理解が足りずに起きるトラブルとは?

たとえば「こだわりの強さ」が影響します。

「自分がミスをするはずがない」と思い込んだり、自分なりの仕事の進め方に固執したりすると、トラブルに陥りがちです。

本当はミスの原因が自分にあるのに、全く認められないため、上司からの修正指示を「嫌がらせ」や「パワハラ」と受け止めてしまいがちです。

ある企業の窓口で働く相談者のケースを紹介すると、このかたは人の顔をジッと見てしまう癖がありました。そのため、役所には「凝視された」との苦情が届きましたが、本人としては「あたたかく見守っていただけなのに、何が悪いのか理解できない」と受け入れられないようでした。

「自分は絶対に間違っていない」と反発すれば、職場で孤立してしまいます。ジョブコーチが適切な方向に修正できればいいのですが、必ずしも当事者が受け入れてくれるとは限りません。

――解決への導きは?

どういった配慮が必要かを明確にして、ジョブコーチを通じて会社に伝えてみてはどうかとアドバイスしています。

離職率の高さが課題なので、ジョブコーチのように労働者側と会社側の言い分を調整する役回りが重視されていくでしょうし、キャリアカウンセラーや精神保健福祉士からのアドバイスを求めるとよいでしょう。

依頼にくる障害者の希望は職場復帰、金銭的解決、謝罪の申し入れなど様々です。裁判になる前の紛争解決も重要ですし、弁護士が出ていくと会社も身構えるので、適切なタイミングを見計らいます。

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