タリバン謎の「イメチェン」意図はどこにあるのか 女性の権利認めるという新生タリバンの実態

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20年にわたってアフガンを民主化させるという欧米の試みは、無残にも挫折したが、教育やインターネット、携帯のインフラ普及によって女性を含めた若者たちは、世界ともコミュニケーションを取れるようになり、未来への希望が垣間みえていた。

「タリバンの思想に変化」には懐疑的な見方

ただ、こうした対外的な環境の変化がタリバンの思想を急激に変貌させるかどうかには懐疑的な見方が多い。サウジのように、強権的なムハンマド皇太子によるトップダウン方式で脱イスラム化が進んだ例外もあるが、イランを支配するイスラム聖職者たちは、世俗的な国民の声に耳を傾けず、イスラムによる神権政治体制を変えようとしない。

エジプトのムスリム同胞団も、当初は穏健な主張を展開していたものの、最終的にはイスラム法の導入に固執して政権の座を追われている。ムハンマド皇太子は、アメリカやイスラエルと手を結び、脱イスラム化を進めるなどタリバンが模範とする人物ではあり得ない。

アフガン専門家は「タリバンの女性や前政権協力者に対する柔軟姿勢は、戦略的なポーズにすぎず、情報伝達ツールを効果的に使うなど、以前よりも危険な存在になっている。原理主義的な思想は早々に変わらない」と指摘している。

タリバンは「イスラムという制限内」や「イスラム法の枠内」ならという条件付きで、穏健な立場を打ち出している。ただ、このイスラムやイスラム法が何を意味するのかは明確に語っておらず、解釈次第では、タリバン前政権時のように女性にとって「暗黒の時代」に逆戻りしかねない。少なくとも数カ月、数年はタリバンの行動を注視しなければ、思想的に変貌を遂げたのかどうかは判断できないだろう。

池滝 和秀 ジャーナリスト、中東料理研究家

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いけたき かずひで / Kazuhide Iketaki

時事通信社入社。外信部、エルサレム特派員として第2次インティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)やイラク戦争を取材、カイロ特派員として民衆蜂起「アラブの春」で混乱する中東各国を回ったほか、シリア内戦の現場にも入った。外信部デスクを経て退社後、エジプトにアラビア語留学。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院修士課程(中東政治専攻)修了。中東や欧州、アフリカなどに出張、旅行した際に各地で食べ歩く。現在は外国通信社日本語サイトの編集に従事している。

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