快走スノーピーク、33歳新社長の知られざる手腕 「アウトサイダーな経営者」が語った次の一手
顧客との接点が絶たれる中、山井氏は「顧客のオンラインエンゲージメントを上げることを最優先に取り組んだ」と話す。SNSで商品説明やテント設営のコツを紹介した動画を配信、1週間に10本ペースでコンテンツを作り込んだ。ECサイトにもチャットサービスを導入し、店舗での接客に近づけた。緊急事態宣言が発令されてからわずか2週間ほどで作り上げた。
「6月ごろからECでもテントや焚火台のオーダーが増え始めた。キャンプを始めようという人が多いんだ、という手ごたえはバシバシあった」(山井氏)。2020年のEC売上高は前年比3倍になった。
課題もある。テントや売れ筋のマグカップの製造が追いつかず、在庫切れが多いことだ。生産拠点を増やすことも検討する。
執行役員時代に始めた「ボトムアップ」の組織づくり
こうしたスピード感がある動きは社風なのだろうか。それとも山井氏のトップダウンなのか。
山井氏は、「(太)会長が社長だった90年代からトップダウンの組織体制が続いていた。上から下りてきたことは忠実に進めることはできるけれど、新しい発想が生まれにくい組織だとずっと感じていた」と言う。山井氏が2018年に執行役員に就いたとき、真っ先に始めたのがボトムアップの組織づくりだ。
まずは組織体制と人事評価制度を見直した。行動指針の実行度合いを評価に反映させる仕組みをつくった。もう1つ、年2回、部署を横断した社員総会を開いて各自が事業アイデアを発表し、フィードバックする場を設けた。少しずつではあるが、全員が1つ上の視座で仕事をすることができるようになった。
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