快走スノーピーク、33歳新社長の知られざる手腕 「アウトサイダーな経営者」が語った次の一手
今ヒットしているのはリビングと寝室で2部屋に分かれ、4人ほどが寝られる「ツールーム」と呼ばれるテントだ。これまでスノーピークのツールーム型テントは15万円を超える製品が主流だった。しかし、2018年に初心者向けに発売されたものは8万7780円(税込み)と、スノーピークとしては破格の値段だ。ほどよくハイスペックで、軽量かつ設営ステップが簡単といったポイントが支持されている。
実店舗9割が休業 顧客との接点を失う
キャンプは釣りやバイクなどと並び、コロナ禍で人気のレジャーになった。スノーピークの好業績も「コロナの追い風を受けているから当たり前では」と見る向きもある。しかし、現場を取材してみるとそう単純なことではなかったことがわかる。
副社長CDOだった山井氏が、父である太氏(現会長)に代わり社長に就任したのは昨年3月末。新型コロナウイルスの感染拡大で、就任直後から難しいかじ取りを迫られた。「役員報酬のカットや経費削減など、守りの戦略は打てた。でも攻めの戦略がほぼゼロだった」と山井氏は振り返る。
スノーピークは直営店やアウトドア用品店など、実店舗での販売が中心だ。テントや焚火台を買う人は、店頭で手に取って確認したいというニーズが強いためだ。しかし、最初の緊急事態宣言が出た2020年4~5月には、9割超の店が休業する事態に直面した。
同社は熱狂的なファンを作る「ファンビジネス」で成長してきた会社でもある。購入金額に応じて6つのランクに分かれるカード会員数は2021年6月末で約58万5000人に上る。得意客を招待するキャンプイベントは年間30回を超えるが、このイベントも中止せざるをえなくなった。
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