証明写真の加工は今に始まったことではない。昔から某百貨店の写真館の写真は神業のような修正が施され、そこで写真を撮ってもらうことが合格祈願と同義になるほどの都市伝説も生まれていた。わかるか、わからないか程度の微妙な修正はしょうがないにしても、ゲームのアバターである「Miiのよう」になるほど修正を加えるとはなかなかの強者である。昔ではありえなかった写真加工技術によって、今の学生の特徴を上手く表現した作品。
履歴書に貼る自分の顔写真を加工するのは、今や当たり前のことなのだろうか。Instagramやプリクラの影響もあるのだろうが、証明写真とは何なのか、一体何のための写真添付なのか良くわからなくなりそうだ。ちなみに、この学生はオンライン面接時にもフィルターがかかっていたらしく、美への意気込みを強く感じたと作者。
学生にとってオンライン面接のメリットの1つは、「カンペメモが見られる」ということらしい。ただし、問題は、それをいかに面接担当者に見つからないようにのぞき見しながら受け答えできるか、ということ。
これは面接担当である作者が見てしまった学生の失敗例について、その一瞬をスローモーションのように切り取って、上手く描写した作品だといえる。同時に、応募学生が驚き、慌てる表情も目に浮かぶようである。作者もここまでごまかしようのない形でカンペが見えてしまうと、かえって学生に同情し、カンペメモの設置方法までアドバイスしてあげたくなったのではないだろうか。
採用担当は「強者」ばかりでない
いかがだろう、企業(採用担当者)が決して「強者」ばかりではないことを感じ取ってもらえただろうか。そして、学生を温かく見守っていることも。
さて、HR総研のオフィシャルページでは、「2022年卒 採用川柳・短歌」の全入選作品について、作者の思いを踏まえての寸評・解説も掲載している。それぞれの作者がどんな気持ちでこの川柳や短歌を詠んだのか、ぜひご覧いただきたい。来年は、どんなテーマの作品が集まるのか、今からもう楽しみである。
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