オンラインでの面接やインタビュー前に、念入りにリハーサルを重ねて、いかに画面映りがよくなるかを工夫する学生の姿が、ほほえましく思えた作者の、親目線で心温まる作品。
オンライン面接ならではの失敗を悔いたり、少しでも印象を良くしようとオンラインスキルを磨いたりする学生の作品も多くあるが、その姿を、このように温かく見守っている採用担当者がいることを、学生に教えてあげたいものだ。
ただ、これは学生だけに当てはまるわけではなく、この作者は違うかもしれないが、学生への印象をよくしようと、リハーサルを重ねる採用担当者だって少なくない。本番以上の時間をかけて、投影データや原稿を一つひとつ丁寧に確認しながら進める、ライブ配信前のオンライン会社説明会のリハーサル風景を、ぜひ学生にも見せてあげたいものである。NG場面などをメイキング映像として、採用ホームページで公開してみてはどうだろう。きっと学生は親近感が湧くと思う。
転職しながらスキルアップするのがもはや普通の時代であることは、理解しなくてはいけないのだろう。しかし、それを直接面接で正直に伝えられ、しかも「御社『でも』いい」と上から目線の一言に、苦々しく感じつつも時代の流れとして受け入れようと、大人な対応を見せる作者のため息が、聞こえてきそうな作品である。選考を受けている立場であれば、もう少し言葉を選んでほしいと思ってしまうのだが、いまの学生は正直すぎるのだろうか。
やはりマスクあり写真が必要か
佳作をあと3作品紹介しよう。
採用活動を無事に終え、内定者フォローの末にやっと迎える、待ちに待った入社式。オンライン採用だったために、やっとリアルで会うことができたにもかかわらず、実際に会ってみると、新入社員が全員マスク姿のため、「誰が誰だかわからない」というコロナ禍の少し残念な入社式を詠んだ作品。こんなときこそ、前掲の最優秀作品の学生のように、マスク姿の履歴書も提出してもらうようにしたらどうだろうか(笑)。
厳密にいえば、「2022年卒採用」ではなく、「2021年卒採用」の入社式のエピソードだといえるが、今年のエピソードということで、そこは大目に見よう。ずっとオンライン上で会っていた内定者にようやくリアルで会えるというのは、人事担当者も内定者同士でも感慨深い瞬間となるはずで、早くマスク無しで安心して会える日が戻ってほしいものである。
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