2つめのテクニックは、「パンとサーカス」です。
古代ローマ市民がこの2つを国家から与えられて満足し、政治に無関心になったという話からくるもので、愚民政策の比喩としても用いられますが、彼はまさに、そうした「表面上は庶民のためになっている」というわかりやすい施策を次々と打ち出してきました。
「給料を800万円に下げ、12年間、3億5000万円を受け取らず、みんなに返した」「名古屋市の全世帯で毎年1万円ずつ、100億円を減税している」などとアピールしているわけですが、政治家の報酬削減や市民の減税など、有権者にとってわかりやすくメリットになる政策を優先し、本質的な改革を進められなかった、という批判はつきまとっています。
「さほど賢くない人ほど異様な自信を持つ」という学説
3つめのテクニックは攻撃対象を見つけ、ネガティブなラベルを貼りつけるというやり方です。
「市民(河村たかし)対超高給職業議員(自民・民主・公明・共産)生活協同組合」などとうたい、既得権を死守しようとする「庶民ではない議員たち」と戦う市民の味方であるとアピールしていました。これは「ネーム・コーリング」とも呼ばれるプロパガンダの代表的手法です。
4つめのテクニックは、あやふやで結論づけられないことでも、堂々と自信ともって言い切るということです。
中身がなくても、自信を持って言い切る人に、人はだまされてしまいます。本当に賢い人は、すべての事象がそんなに簡単に割り切れないことを知っていますから、シンプルに決めつけたりすることはないわけですが、一方で、「さほど賢くない人ほど、異様に自信を持っている」という学説があります。
その研究者の名前をとって、「ダニング・クルーガー効果」と呼ばれていますが、人は白黒をつけたがる習性を持っており、多少事実を違っても、言い切ってくれる人に惹かれてしまう、ということなのです。
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