ある日突然「解雇」、空白の6カ月間で得た気づき 身を持って「会社ってあっさり潰れる」と実感
──日本だと「最終選考にさえ行けばほぼ採用」なんて言われることもありますが、そうではなかったんですね。
そもそもアメリカの就職活動では、書類選考の後に「Phoneスクリーニング」と呼ばれる電話での選考が2回ほどあって、その後オフィスに呼ばれる「オンサイトインタビュー」があります。これが最終選考で、5~6人の社員とそれぞれ1時間ほど面談します。
──最終選考だけで5時間近くかけるんですね……!
そうなんです、だから最終選考で落ちてしまうのは精神的にも体力的にもキツかった。
ここからドツボにはまってしまって、何十社受けても最終選考で落とされるパターンが続きました。サンフランシスコ中のIT企業を受け尽くして、もう受けられる会社がないくらいの勢いで落ちまくって(笑)
選考に落ちるたびに、自分の経歴を否定されたような気分になって、どんどん焦りが募っていきました。
──どうしてそんなに落ちまくったのでしょう……?
単純に、僕の英語力がしょぼかったからだと思います。アメリカの面接って、仕事のエピソードトークを求められることが多いんですよ。いくらTOEICの点数がよくても、ビジネスシーンでコミュニケーションができなければダメだとみなされる。「結局、僕は英語の筆記テストが得意なだけだったんだ」と痛感しましたね。
出費もかなり大きかった
──そして6カ月の無職期間が続いたと。焦りは募りますね。
出費もかなり大きかったですしね。アメリカの医療保険って月20万円くらいかかりますし、家賃も1LDKで40万円以上します。退職金や貯金はあったけれど、無職期間があと数カ月続けば生活できなくなるところでした。
当時は転職活動のために毎朝お弁当を持って、マンションのクラブハウスという集会所的なところで作業をしていたんですけど、同じように就活をしていた「同志」が日に日に1人減り、2人減り……とうとう最後は僕一人になってしまったんですよ。薄暗いクラブハウスに1人でレジュメを書いていて「僕はいったい何をやってるんだろう」と、とてもみじめな気持ちになりましたね。
──そこから抜け出せたのはなぜ?
あるときLinkedInを眺めていたら、前職の同僚がAmazonでゲーム開発に携わっていることを知りました。ダメもとで連絡してみると、彼のチームが探している人材のスキルセットが僕とぴったりマッチしていて。どうにか、選考にねじこんでもらいました。
──でも、ゆうさんはインタビューが鬼門だったのでは?
具体的なノウハウではなく精神論で恐縮なのですが、これはもう「背水の陣」で乗り越えました。
ここがダメだったら日本に帰るしかないと、覚悟を決めて超入念にインタビューの準備をしたんです。どんな質問がきても答えられるように想定質問を40個くらい用意し、すべての質問にA4で1~2枚、数百ワードにわたる回答を考えました。それをとにかく暗記。大学受験よりも勉強したと思います。
すると面白いようにインタビューに答えられて、無事Amazonの選考に通過しました。同時期に選考を受けていた企業の選考も通過したので、ラッキーパンチではないと思っています。