名刺管理Sansan社長が徳島に高専をつくるわけ 20年ぶりの新設高専、狙いは「野武士」の育成

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Sansanが高等専門学校を新設する徳島県神山町。地域活性化のモデルケースとして注目を浴びている(写真:神山まるごと高専設立準備委員会)

クラウド名刺管理サービスを手掛けるSansanの寺田親弘CEOが中心となり、徳島県神山町に高等専門学校をつくる。

「高専を単に作るのではなく、起業家を育てるのが狙い。まさに人間の未来を創る学校を開く」

寺田CEOは高専設立の狙いについて、このように語る。

約20年ぶりの新設高専

私立の神山まるごと高専は2023年4月開校予定で、「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える」ことをミッションに掲げる。全寮制で定員は1学年40人。初年度は学生40人に対し、教師20人からのスタートとなる。

高専の校舎は、神山中学校の建物校舎を同町から譲り受ける形でリノベーションし、活用する。

高専は、技術教育を中心とした日本独自の5年制教育システム。一般科目を学びつつ、専門的な知識や技術を身につけることができる。国内には現在、57の高専があり、国立が51校、公立として3校がある。私立の高専として、神山まるごと高専は4校目。高専が新設されるのは約20年ぶりとなる。

高専卒は学歴上、短大卒と同じ扱いになるため、高学歴化が進む中で入学希望者が落ち込み続けていた。だが近年は技術者を育成する仕組みとして産業界からの評価が高まりつつある。「高専ロボコン(ロボットコンテスト)」に象徴される機械工学研究だけでなく、AI活用研究などでも成果を上げるケースが増えているためだ。

神山まるごと高専はこれら既存の高専と一線を画す教育を目指している。例えば、ITやソフトウェアなどの「最先端テクノロジー教育」のほか、アイデアを形にするためのUI(使い勝手)・UX(利用者体験)を中心とした「デザイン教育」、社会変革を生み出す起業家精神を育むカリキュラムなどだ。現在は構想段階だが、これから具体的な授業の内容などを詰めていく。

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