サイボーグ化で「究極の愛」貫く科学者の思考回路 ネオヒューマンが示す「万物を支配する愛の力」
こうして考えてみると、やはり愛は、今の時代に必要とされているメッセージなのだと感じます。
「人生100年時代」と言われるなか、雇用は流動化し、より混沌として、わからないことも増えています。さらに今はコロナ禍でもあるからこそ、自分の将来について向き合わざるをえなくなっています。
これまでは、大学を卒業して就職すれば、定年まで会社にいられました。だからこそ、その間に考えることはわずかですみました。でも今は、考えなければならないことが増えています。ところが、それに対してきちんと向き合っている人、内省しながら思索を深め、一歩進むことができている人は少ないと思います。
若い人ほど「哲学」が必要になってくる
やはり、哲学が必要だと思います。特に若い人にとっては、今後その重要度がますます増してくるだろうと僕は思っています。
サイボーグ化やAIが増えていくと考えると、いずれにせよ今の仕事や労力というものは減っていきます。すると、暇な時間が増えていきます。僕はこの先、アカデミアの時代がもう一度来るだろうと考えています。かつてギリシャ哲学が盛り上がったような時代です。
古代の知識人は、奴隷階級の人々との明確な格差社会によって、暇な時間を持つことができたからこそ、学校を作り、知的探求をして、多くの問いを残してきました。それと同じことが、時代の大きな揺り戻しの中で、もう一度来る。それが令和の時代ではないかと思うのです。
みんなが哲学者になる。みんなが自分のなかに問いを持って、生きていかざるをえなくなる。そう思うのです。だからこそ若い人には、本書を読んでほしいですね。
既存の価値観や常識、世の中に対する前提、知識などがない状態のほうが、本書はより深く読み込めるでしょう。字面や事象など、表面的な部分だけを切り取るのでなく、バイアスのない状態で楽しむことができれば、学べることがたくさんありますし、社会に浸透するとも思います。
僕は『ネオ・ヒューマン』の描いた領域に対して、非常にワクワクしています。さらなる一歩先の未来へと、連れていかれた気がしています。
(構成:泉美木蘭)
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