サイボーグ化で「究極の愛」貫く科学者の思考回路 ネオヒューマンが示す「万物を支配する愛の力」
『ネオ・ヒューマン』でも、物理学や先端技術に長けているピーターさんが、「3つの法則」の最後に愛を持ってきています。それこそが彼の原動力であり、本書をインパクトのあるものにしているのだと感じました。
ここでいう愛は、一般的な恋愛やLOVEという意味のものではなく、万物を支配しているエネルギーのなかの1つ、というようなイメージです。現在、人間が基本としているけれども、まだ解明されていない未知なるものとしての愛。ここに真正面から向き合う時代に来ているのだと思います。
ピーターさんは、時には愛だけが、ルールを土台から壊すほどの蛮勇をふるわせることができ、愛だけが、本物の魔法を起こすことができると言います。また、次のようにも書かれています。
愛というものに対して、他の2つよりもよりプライオリティーを高く置いていることを感じます。
「世の中の偏見」が思索を深める
本書全体を読むと、「宇宙において最も恐るべき力になる」という表現は、単なる大袈裟な論理飛躍ではなく、緻密なロジックから紡ぎ出された結論であるということも伝わってきます。
また、ピーターさんは、人間のホルモンや遺伝子、ニューラルネットワークも、愛というものに由来すると言います。宇宙をマクロ、身体の物質や構成要素、細胞などをミクロとして捉える。このコントラストのなかで、彼の中には学術的なロジックがあることも感じられ、非常に共感して読みました。
愛について、こういった段階にまで思索を深めているのは、ピーターさん自身のジェンダーの問題が背景にあるように思います。
同性愛者として、恋人のフランシスさんと関係を深めてきたこと、それに対する周囲の目や、世の中の偏見を受けるなかで、どうしても、他の人よりも長く、何度も、愛というものを考えざるをえなかったのではないでしょうか。
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