「健康維持にプロテイン」は逆に体壊す医学的理由 タンパク質の過剰摂取が引き起こす大問題

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肥満者はがんにも罹りやすくなります。2016年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」に国際がん研究機関が発表した研究によると、太ることで大腸がんは1.3倍、膵臓がんは1.5倍、胃がんと肝臓がんは1.8倍、食道がんは4.8倍、子宮がんに至っては7.1倍も発症確率が上がることがわかったそうです。

このようにがんが増えるのは、太ると脂肪組織の炎症を起こすからです。体の中で起きる炎症は、がんだけでなく、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、腎臓病の大きな原因でもあり、肥満は命を縮めることそのものなのです。

逆に、体重を減らせば健康体に近づきます。専門的な研究で、4.5キロの減量によって血圧が下がり高血圧症は予防できるということがわかっていますし、2.25キロ減らすだけで心疾患を40%も減らすという報告もなされています。

ところが、多くの人にとって減量は難しく、太るのは簡単なのです。そのため、ほとんどの国で国民の肥満解消は喫緊の課題となっています。とくに深刻な肥満大国アメリカでは、「バリアトリック手術」という胃を小さくする手術さえ当たり前のように行われています。胃を小さくしてしまえば食べる量が減り、体重が減るという、単純明快な理論です。

なんだか大事のようですが、腹腔鏡を用いてお腹を切り開くことなく行えます。日本でも、極端な肥満者には保険適用が認められ、徐々に受ける人が増えています。

高血糖や腎臓病に飛躍的な効果

バリアトリック手術による肥満治療は、単純に体重が落ちるだけでなく、高血糖や腎臓病に飛躍的な効果をもたらすことがわかっています。

『医者が教えるあなたの健康が決まる小さな習慣』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

アメリカで、この手術を受けた2144名の患者さんに対し、7年間の経過観察を行った結果が、2018年に報告されています。それを見ると、慢性腎臓病のリスクが半減され、すでに悪化していた尿アルブミン値、血清クレアチニン値などの数値がかなり改善されたということです。

もっとも、あなたがこの手術を受けなくてはならないほどの肥満者である可能性は限りなく低いでしょう。私がここで述べたかったのは、ゆめゆめ肥満を軽んじてはならないということです。

私は毎朝、体重計に乗り、その増減によって1日の食事内容を考えています。医者として当たり前のことだと思っていますが、それは健康を考えるあなたにとっても当たり前のことなのです。

体重管理は、健康のための一丁目一番地だという認識を持ってください。

牧田 善二 医学博士・AGE牧田クリニック院長

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まきた ぜんじ / Zenji Makita

AGE牧田クリニック院長。糖尿病専門医。医学博士。1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。1996年より北海道大学医学部講師。2000年より久留米大学医学部教授。2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、腎臓病治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業し、延べ20万人以上の患者を診ている。

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