KDDI田中社長、「Firefox端末は必ず出す」 シリーズ「これからの通信」 KDDI(後編)

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――無線LANサービスへの不満はフリンジ処理(エリアギリギリの境界線上での処理。無線LANを捕まえているのに、実効速度が遅く使いものにならないことがある)が難しく、良い体験ができていないことにも大きな原因があるのでは?

他社のものを借りているアクセスポイントはどうしようもないのですが、自社で展開しているアクセスポイントに関しては、基地局が発するビーコン信号を少し弱く打つように改善しました。こうすることでエリアは小さくなりますが、フリンジまでにはビーコンが届かないよう調整することで、問題を解決できます。

これに加え、IEEE802.11acへの対応も進めて無線LANを強化しています。もちろん、WAN側も強化はしていますが、駅やショッピングモールなど人が集まる場所でのデータトラフィックは大きいですし、データ通信料金が通信量に応じた段階制になると、少しでもWiFiを使って逃がした方が良いという心理が働くでしょう。かつてはWiFiスポットの数を競っていましたが、今は質を追求するための変更をかけています。

――話をLTEに戻しますが、”質の追求”というのであれば、無線区間の高速化、基地局の高密度かにより、バックホール(基地局からIP通信のトラフィックを落とす固定回線)の帯域が問題になりますよね。そちらの整備は進んでいますか。

バックホールの1Gbpsの光回線への切り替えを、LTEの基地局整備とともにどんどん進めていいます。実際に、無線区間の速度よりも、固定回線の方がボトルネックになっている地域も出始めていますので、次々に見直しをかけています。ただ、地域によってはそもそも光ファイバーケーブルがない、という場合もあります。その場合、その地域の地理的状況によって、光ファイバーを新設するのか、T1回線(メタルの1.5Mbps回線)を束ねて高速化した方が良いのかを判断し、いずれにしても必要な帯域を確保しています。

SIMフリー義務化は誰のため?

――携帯電話業界全体の話題としては、総務省による端末のSIMフリー義務化という話題があります。これに対するKDDIとしての意見は?

キャリア側としては、料金体系の多様性がある方が、顧客に合わせた提案を行えるという点でSIMロックを守りたい部分はあります。SIMロックをかけなければできない手法もありますから。そうした意味では、SIMフリーの義務化が果たして何を指すのか、ということを議論しなければならないでしょう。

一方で、SIMフリーにしたところで、今のビジネスモデルと大きくは変わらないという意見もありますね。ただ、SIMフリー義務化となればビジネスモデルの大きな転換は必要になり、販売店の売り方も変わるでしょう。それが本当に消費者であるエンドユーザーが求めていることなのか、よくわからない部分もあります。

――端末ごとの互換性問題もありますね。

KDDIはSIMフリーに対応していない(ロックを外してくれるのはドコモだけで、ソフトバンクとKDDIはロック解除に応じていない。ドコモもiPhoneはロック解除を行っていない)と言われていますが、cdma端末の場合は設定を変えなければSIMロックを外しても、他社SIMカードでそのまま繋がらない場合もある。比較的新しい端末ならUMTSネットワークにほぼ繋がるとはいえ、キャリアをまたいでつながらなかった場合に、誰が保証、サポートを行うのかという問題があります。レイトマジョリティに設定を細かくチェックして入力させるのは難しいでしょう。

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