KDDI田中社長、「Firefox端末は必ず出す」 シリーズ「これからの通信」 KDDI(後編)

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――つまり、KDDIとしては引き続き、SIMフリー化には消極的ということでしょうか?

いえ、そうではありませんが、もっと議論を深めるべきだと考えています。たとえば、SIMフリー化といっても、いろいろなやり方がある。すべての端末からSIMロックを外しなさいという議論なのか、それとも端末の残債が終わったとき、あるいは一括で購入した際にはSIMロックを外しなさい、という話なのか。それによって、ビジネスモデルも変わります。完全にすべての端末をSIMフリーにするのであれば、月額負担を安くするビジネスモデルは不可能になる。本当にそうした面を理解した上で議論されていのかが分からない。より良い方法について話を深めていきたいと考えています。

――各社ともパケット通信の段階制料金体系とともに、音声通話料金の定額制もセットで提案され、一部では実質値上げとの反発もある。KDDIは旧料金体系も選べますが、他社は料金体系が変わる。KDDIの料金体系についての考えは?

KDDIの考えは、スマートフォンにユーザーがエントリーする場合(フィーチャーフォンからスマートフォンへの切り替え)にかかる、最低月額料金を下げようということです。そのためのアイデアとして、データ通信の段階料金制を考えました。

ティアード料金(利用の度合いに応じて料金を変えること)にすることで、スマートフォンは持っていたいけれど、でもそんなに頻繁にはデータ通信は使わないんですよ、という人や、みんなに教えてもらって自宅ではWiFiを使っているんですよ。といった人に対して適切な料金を提示することができます。そこには、消費者にとってネガティブな要素はないと考えています。

では問題は何かというと、データ通信契約のティアード料金プログラムと音声定額をセットにしたことにあります。ユーザーの中には、音声通話はほとんど使わないけれど、データ通信はたくさん使う方もいらっしゃるわけで、従来通りの980円音声プランにティアード料金のパケットを組み合わせて使いたいという方がいて当然です。そんな中で「無料IP通話アプリがあるから、そんな料金プランではダメだ」などと言い始めても、時代がそうなのですからキャリアが一方的に主張しても意味がない。ユーザーはそういうプランを選びたい、と思っているんですから。

このためKDDIのユーザーに関して言えば、既存プランも残しました。販売現場からのフィードバックでも、現状、ネガティブな意見は出てきていません。ティアード料金の体系などについては議論があるかもしれませんが、もう少しの間、新しい料金プランをユーザーがどう認識、判断するのか様子を見たいと思っています。

――もともと、スマートフォンの通信パッケージ料金と音声定額をセットにするプランへの切り替えは、VoLTE導入前提で音声通話料金定額と一緒に行う、という話でした。このあたりの認知の広げ方にも問題があったように思いますが。

実際にVoLTEを導入しているのは、今のところドコモだけです。業界全体の動きとしてVoLTE導入は以前言われていたよりも前倒しになってきていますが、KDDIはまだ始めていない。データ通信に関しては、トラフィックの急増で使う人と使わない人の差が大きくなっています。このため、ティアード型料金体系になるのは必然なのです。我々はまず、この部分を最新の状況に合わせるため新プランを投入しました。今後はVoLTE投入とともに、細かな不整合を調整しつつ顧客の反応をみながら料金体系を調整していきます。すべての人にとってベストというのは難しいですが、誰もがなっとくできるバランスを模索しているところです。

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