東大教授が語る「人がサイボーグになる」の現実度 「ネオ・ヒューマン」が示す「未来の人類」の姿
私はこのプロジェクトにアドバイザーとして参加しているほか、仲間の研究者とともに「稲見自在化身体プロジェクト」を進めています。
「自在化身体」という新しいコンセプト
この「自在化身体」という考え方は、詳しく述べるとそれだけで1冊の本になってしまうのですが、ものすごく簡単に言うと「サイボーグやアバターなど、テクノロジーによって拡張された能力を、人が自らの身体のように自由自在に扱えること」です(詳しくは拙著『自在化身体論』をお読みください)。
ここで大切なのは、単に「新しいことができるようになる」だけではなく、「自分自身の能力が高まったように感じる」ことです。
この違いは「無人運転タクシー」と「タケコプター」の違いを想像してもらうとわかりやすいと思います。いずれも「機械によって行きたい場所に行く」というゴールは同じですが、「自分自身の能力が高まったように感じる」のはタケコプターのほうでしょう。
私たちの関連研究に、人の腕を4本に増やし、自由自在な作業を可能にする「MetaLimbs」があります。この第3、第4の腕を「あたかも自分の身体の一部」のように感じてもらうのが、研究の大きな目標の1つです。
ピーターさんもまた、本書のなかで次のように述べています。
自分の身体を実験台にしてまで、このような野心的な取り組みを実践しているピーターさんを知って、正直、科学者として、悔しさと尊敬が入り混じった気持ちになりました(笑)。
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