はたして「川口」は本当に住みやすい街なのか 地元民からは冷ややかな声も聞こえてくる
埼玉県の「川口」が住宅ローン大手の「本当に住みやすい街大賞」で2年連続1位に輝いた。市の税収がコロナ禍では異例となる増額補正される見込みで、奥ノ木信夫市長は「東京から移住してくる若い、高収入の市民が増えている」と説明したと報じられた。だが実際に街を歩くと、新旧の住民から複雑な声がもれる。
若い高収入の市民が増えている?
東京駅からJR京浜東北線に乗り約30分。荒川を渡り、埼玉県に入った最初の駅が川口駅だ。住宅ローン大手の「アルヒ」による「本当に住みやすい街大賞」で2020、21年と2年連続で1位に輝き、一気に注目度が上がった駅だ。
一部では、ランキング1位になった「川口市」との書かれ方も散見されるが、同社によると「JR川口駅を最寄りとする一帯」のことで、川口市全体を指して「住みやすい」としているのではないという。
実際に駅に降り立ってみると、東口駅前のビルには「2年連続1位」ののぼりが誇らしげに掲げられている。東口駅前の顔だった「そごう」は今年2月いっぱいで閉店。跡地がどうなるかは未定だが、その裏手には商店街が広がり、さらに商店街に面した一画で地上28階建てのタワーマンションが建設中だ。
このタワマンは店舗を含む複合型マンションになるという。反対の西口には大きな公園が広がり、こちらにもタワーマンション群が目に入る。
川口市は今月、21年度の市税収入を909億円と見込んでいたが、9月の補正予算で増額補正し943億円になる見込みと公表とした。増額補正はバブル期の1989年以来だといい、報道によると市長は「住宅が東京と比較して安いことなどから、東京から移住してくる若い、高収入の市民が増えている」ことを理由に挙げている。
市の担当者は、「市民税の所得割額が増額したことと、固定資産税の減免措置申請が見込みを下回ったこと」の2点が主な要因だとしつつ、「川口が『住みやすい街』に選ばれ、東京から住み替える人たちが増えて税収増につながっているのではないか」とも推測した。