増える自殺や孤独死「事故物件」その後どうなる? 問い合わせが殺到している事故物件買取業者

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問い合わせの内容としては自殺、殺人、孤独死など生死にかかわるものだけではなく、シロアリの被害物件や再建築不可な物件、ゴミ屋敷など売りにくい条件があるもので多岐にわたる。しかし賃貸住宅においては、生死にかかわるものが多いという。

賃貸住宅が事故物件になってしまったら…

自分の物件で、入居者が亡くなるという突然の出来事により、呆然となってしまう賃貸住宅オーナーも少なくないという。そして、オーナーがいちばん気がかりなことは、物件の資産価値が下がってしまうことだろう。資産価値が下がってしまうことで、また貸すことができるのか、手放すのか、手放すにしても売却できるのだろうか……、オーナーの不安は尽きないはずだ。

「物件の価値がどれくらい変わるのかというのは、物件、地域、居住者などによってケースバイケースで一概にはいえません。人気の土地で駅前の利便性があるマンションなら、それほど影響はないかもしれません。しかし、地方で住宅が余っているエリアや、新築物件だと、半分以下に下がってしまうケースもあります」(岡本さん)

では、どのようなケースがあるのだろうか。あきんどは買取業者なので、事件発生直後の問い合わせというよりは、ある程度落ち着いたあとの処理段階での問い合わせが多く、どのようなトラブルが発生したかという詳細までわかることは少ないという。しかし、そのなかでもインパクトがある問い合わせもあるそうだ。

【ケース1:社宅として借り上げされていた物件で、従業員が自死をしてしまったケース】

この場合は、社宅で会社名義なので居住者の親族への責任ではなく、会社に対して債務が生じる。そして、その借りていた会社からのお問い合わせだ。清掃、遺品整理などすべてのことを物件の管理会社に任せたが、管理会社の弁護士から、物件の価値が下がったことに対する損害賠償請求を起こすと連絡があったという。その請求金額が相場と合っているかという相談だった。

【ケース2:事故後長期間の放置】

賃貸物件が事故物件になってしまったあと、何もせずに放置してしまうオーナーは多いそうだ。物件としてすぐに貸し出す気分になれないし、事故処理や心の整理がついてから考えようとしているうちに日数が経過してしまう。あきんどには、動かない(動けない?)オーナー本人より、その家族や相談を受けた業者からの問い合わせも多いという。

次ページ3つ目の問い合わせケースは
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