増える自殺や孤独死「事故物件」その後どうなる? 問い合わせが殺到している事故物件買取業者

拡大
縮小
【ケース3 残置物の多い部屋の処理】

賃貸住宅で事故物件になってしまう部屋のなかには、長期入居の末……というケースも多く、孤独死や突然の事故・事件によるものもある。その場合、整理されていない大量の残置物もそのままに、住人だけが消えたように部屋は残されてしまう。オーナーが、保証人や親族とのつながりがある場合は比較的スムーズだが、賃借人保護法律の下、オーナーが勝手に残置物を処分することができず時間がかかるケースもある。そのような状態に陥ってしまったオーナーからのSOSもあるという。

あきんどが買い取った、住人だけがいなくなった生活感が残る部屋(写真提供:あきんど)

孤独死は「高齢者」だけではない

前述のガイドライン案によると、賃貸借契約においては「他殺、自死、事故死その他原因が明らかでない死亡」や、「特殊清掃が必要となる自然死」は、事案の発生から3年間の告知義務が生じる、とある。

つまり、自然死または、日常生活の中での不慮の死で特殊清掃が必要ない場合では、告知義務がないということになる。室内で誰かしらが亡くなっているにもかかわらず、告知を必要としないということはどうなのだろうか。すべての告知を義務化すると対応しきれないほど、孤独死の件数が多いのかもしれないが、借主がその事実を知らないまま契約し、何かの拍子に知ったときには、トラブルになることは安易に想像できる。

そして孤独死は、“高齢者”という先入観があるが、昨今は若年層の自死が増え、2020年11月に発表された、日本少額短期保険協会の「第5回孤独死現状レポート」では、いまや孤独死の平均年齢は61歳と比較的若く、高齢者ではない65歳未満の孤独死が4割になっていると発表している。もはや、高齢者の孤独死だけを問題視するのはナンセンスなようだ。

(出典:一般社団法人日本少額短期保険協会 「第5回孤独死現状レポート」を基にウチコミ!タイムズ編集部にて作成)

では、事故物件オーナーにならないためにできることはあるのだろうか……。清田さんはこう語る。

次ページオーナーがするべき対処法はあるのか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT