『週刊東洋経済』の最新号(7月10日号)の特集は、「ガバナンス地獄 最後の審判」と題して、東京証券取引所の市場再編で「プライム市場」から外れる可能性のある会社の独自ランキングなどを掲載している。
東証は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編されるのだが、価値が最も高いプライム市場に残るために苦心している企業の、あれこれのエピソードが面白く書かれている。
「ESG投資」を額面通り受け取ってはいけない
プライム残留の詳しい条件と上場企業の事情の詳細は特集号で読んでいただきたいが、現在の東証1部上場企業も、独立社外取締役が3分の1以上、流通株式が35%以上、流通時価総額100億円以上、などの条件を満たさないと東証プライム上場企業に残ることができない。
「東証1部上場企業」は新卒社員の募集などでブランドとして機能する場合があったし、経営者や社員の「ステイタス的満足感」にも関係していた。企業によっては、深刻に捉える向きもあるだろう。
社外取締役の数や取締役の多様性などを求める「ガバナンス改革」は、企業経営から見ると迷惑な社会運動に近いが、経営者としては無視しにくい。もっとも、社外取締役の多くは、経営の深い問題に口を出すほどビジネスに詳しくないし、経営者の報酬アップに賛成してくれることが多い、経営者にとっては都合のいい「お人好しの応援団」なのが現実だ。だから受け入れられている。
株主総会を巡る働きかけが問題となった東芝も、製品検査の深刻な不正を事前に把握しながら株主総会の後に発表した三菱電機も、「ガバナンスに問題あり」と言わざるをえないが、外形的には委員会等設置会社でありガバナンスの優等生会社だった。
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