ところが、どうやら、プライム市場から外れることは、直ちにTOPIX採用銘柄からの除外を意味しないようなのだ。
7月3日に、インデックス投資家にとっての「年に1度の祭典」(?)である「インデックス投資ナイト」の「スピンオフ企画2021年」が実施された。「スピンオフ」と銘打った理由は、例年リアルのアルコールあり・飲食付きのイベントなのに、今年はオンライン配信で登壇者・関係者がすべて飲み物はノンアルコールであったことによる。
このイベントの企画の1つでTOPIXの今後を論じるものがあったが、この中で、TOPIXは市場区分と連動するのではなく、TOPIX自体としての連続性を尊重して運営され、市場区分の変更によって急激に大きくは変化しないことが話題となった。市場区分の変更後の新TOPIXと、旧TOPIXの差は1%以内に収まる見通しだという。
恥ずかしながら、筆者は、新TOPIXがそのようなものになることを、このときにはじめて知った。
新TOPIXの最重要項目は「流通時価総額」
詳しく書くと際限なく細かくなるので要点だけを述べると、新TOPIXは、プライム・スタンダード」・グロースの市場区分に連動するのではなく、主に「流通時価総額100億円」の基準によって採用銘柄を決定し、その移行調整を四半期ごとに合計10回に分けて行う(『証券アナリストジャーナル』7月号掲載の東証職員の能木絵美氏「TOPIX(東証株価指数)等の見直しの概要」による)。
東証およびTOPIXを検討した有識者はTOPIXの「連続性」を強く意識したようだ。また、指数の内容変更に伴う取引で指数自体および指数連動商品の保有者が損をする可能性を排除する必要がある点についても意識したようだ。
2000年の日経平均の銘柄入れ替えで、日経平均自体が市場変動要因以外で10数パーセント下落して、指数としての連続性が壊れ、同時に日経平均連動のインデックスファンドの保有者等が大きな損失を被った失敗例を反面教師としたものだろう。
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