東芝の判断は愚かだが、「極悪」とまでは言えない 「東芝と経産省の圧力問題」はどう判断すべきか

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東芝の株主総会では永山取締役会議長への反対票が56%にのぼり、再任が否決された。東芝は何がダメだったのか(写真:つのだよしお/アフロ)

今回は東芝の話をしよう。同社は今や日本一、いや世界一悪い会社のように言われているが、そんなことはない。私に言わせれば、愚かでかなりダメな会社ではあるが、言われているほどの極悪会社ではない。

そもそも、今回の騒ぎというのはアクティビストファンド(いわゆるモノ言う株主)と経営陣が対立し、戦っているだけの話であり、それが「痴話喧嘩」のように、はしたないものだっただけのことだ。

この痴話げんかで、うまくやったアクティビストファンドがヒーローのようになり、下手を打った東芝が散々な有様になっているだけのことだ。痴話げんかというよりは「芸能人のスキャンダルに近いイベント」だったと言ってもいいかもしれない。

東芝問題は実は比較的「シンプルな問題」?

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しかし、芸能人にとっては、他愛もない失言がタレント価値を暴落させることがある。それと同様に、東芝の経営陣が同社の企業価値を喪失させてしまったのも事実である。事件の一連の顛末、それまでの経緯、東芝の本質、そしてコーポレートガバナンスの本質をここで振り返ってみたいと思う。

私に言わせれば、今回の事件は、ごく簡単に言えば、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントというアクティビストファンドが、株主総会の議決権の採決に関して苦情を言ったことがすべてである。これだけのことである。

その苦情は集約すると2つ。一つは信託銀行と郵便の事情により、郵送による議決権行使が1日の空白を生んで、カウントされない議決権投票があったのではないか、というものだった。これは、東芝だけでなく日本の上場企業すべての問題であり、どちらかというと日本の信託銀行などの問題であり、それに尽きる。なので、東芝とは関係がないはずだ。

もう一つの問題が、スキャンダル化して話題になったものであり、東芝と経済産業省が結託して、海外の投資家に圧力をかけて適切な議決権行使を妨げたのではないか、という疑惑である。

まず、昨年の株主総会で当時の車谷暢昭社長の取締役再任を阻もうとしたが、投票で負けたエフィッシモ側が「株主総会に不正があった」と異議を申し立て、調査を求めた。会社側はこれに対応し、監査委員会が発注を行い、調査を行った。発注先は西村あさひ法律事務所。日本有数の弁護士事務所による監査委員会側の調査である。

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