東芝の判断は愚かだが、「極悪」とまでは言えない

「東芝と経産省の圧力問題」はどう判断すべきか

事実とはどういうことか。まず、東芝の一人の役員が、エフィッシモなどの反対を変えようとした。この役員が奔走し、そしてそれに同情して一肌脱いだ経済産業省の一人の幹部がいた。

問題があるように見える行動をとったのは、この二人であった。彼らの奔走に対して、経済産業省のそのほかの人々は迷惑だと思い、かかわろうとしなかったし、また東芝の他の役員たちも懐疑的だった。一部には「うまくいけば確かに助かるが・・・・・・」という淡い期待を抱いていた者もいたが、やはりそんなことはなかった、ということである。

それがほぼすべての事実である。肝心なのは焦点となった「経済産業省の圧力の有無」を議論するうえで、決定的に重要な経済産業省の外為法の担当者は一度も登場せず、権限をもった当局はまったく無関係であったことである。したがって筆者に言わせれば、法的に問題はないばかりか、週刊誌的にもスキャンダルになるような大きな事案ではない。要は「二人が奔走したが、結局何もおきなかった」ということだ。

そもそも東芝とエフィッシモの対立点は何だったのか

話を少し複雑にしているのは、当時経済産業省の参与だった、ある一人の人間である。ただし参与というのは経済産業省にとっては外部の人間に等しいから、組織的に動くことはない。彼は一肌脱いで、ハーバード大学の運用側に掛け合った、と報告書は推測しているのだが、まったく相手にされなかった、といういきさつだ。これも小説としては面白いかもしれないが、結局は何もなかった、ということだ。

事の顛末は以上である。

読者の皆さんは、忘れているかもしれないが、そもそも何を東芝とエフィッシモはもめていたのか、ということである。それは、車谷前社長の再任の賛否である。

それはどちらが正しい、というものではない。経営側と株主側それもアクティビストファンドとは、タイムスパンが異なることが普通である。前者は、事業を継続し長期に成長することを目指しす。一方、アクティビストファンドは「イベント」を起こして、短期に株価を上昇させて、キャピタルゲインを得たい、というケースが多い。このように時間軸が異なるのは、株式市場主義の現代ではやむをえない。

では、なぜ東芝はアクティビストファンドに翻弄されるようになったか。その顛末を見ておく必要がある。

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