競馬である。
6月の宝塚記念が終わると、「ローカルシーズン」の開幕だ。だが、欧米にはローカルシーズンというものは、ほとんどない。例えばアメリカのニューヨーク州では、サマーダービーとも言われていたトラヴァーズステークスが8月にサラトガという避暑地で行われてきた。この時期に重賞レースが多数同時に開催される。ローカルどころか、全米のブリーダーズカップに次ぐ大きなイベントとなっている。
日本も夏競馬を「ローカル」から「メジャー」に
しかし、これも昨年から大きく変貌した。「芝の3冠レース」として、7月にベルモントダービー、8月に文字通りサラトガダービー、9月にジョッキークラブダービーを行うこととなった。さらにサラトガダービーは今年からG1に格上げされた。
一方、牝馬の芝3冠も7月にベルモントオークス、8月にサラトガオークス、9月にジョッキークラブオークスと「トリプルティアラ」と銘打って行われることとなった。
もちろん、伝統的なアメリカの3冠レースはもちろんダートである。これは5月にまずケンタッキーダービーが行われ(今年は5月2日)、なんと2週間後にプリークネスステークス(5月16日)、そして6月にベルモントステークス(6月6日)と、正味1カ月の間に3つものビッグレース行われる。
したがって、アメリカのクラシック3冠レースとは日本とは似ても似つかぬもので、「無事是名馬」を地で行くものとなっている。しかも最重要レースが最初に行われるから、後の2つはおまけのようなものである。そもそも同国では2歳戦から完全に仕上げてきて、2歳戦の実績が種馬の価値を決めるから、そもそも3冠には言われているほどの重みはない。
そのなかで、8月のトラヴァーズステークスは、夏の3歳馬最強決定戦として、重要なものと捉えられてきたが、今後、芝路線も充実することとなり、サラトガの占める位置はダート芝ともに重要なものとなってくるだろう。ちなみに日本で言う「ダート馬」という言葉はアメリカにはない。強い普通の馬はダートであり、いわば特殊な馬が芝を走ることになっており、一般の競馬ファンは芝馬のことは、ほぼ何も知らないに等しい。
ということで、前置きが長くなったが、日本のサマーダービーとも言えるのが、福島のラジオNIKKEI賞(4日、福島競馬場の第11レース、距離1800メートル、G3)である。ただこのレースは以前から「残念ダービー」として、3歳の最高峰レースである日本ダービーに間に合わなかった、あるいは成績が足りなかった馬が「悔し紛れに出てくるようなレース」となっている。私はこれを8月の札幌に移して、アメリカのように真のサマーダービーにすることを提案したい。
ということで、同レースの予想は、訳あってシュヴァリエローズ。知り合いが馬主なので応援せざるをえない。私が生涯実現できなかったディープインパクトの馬主になれるなんて、羨ましいというか妬ましい。しかし、義理があるので本命。
一方、小倉競馬場ではCBC賞(同日の第11レース、距離1200メートルG3)が行われる。例年は中京競馬場で行われるこのレースが今年は小倉。そこへ、九州産馬、しかも熊本産で、その名もヨカヨカが参戦する。
日本の馬産は、北海道一極集中というよりも「社台ファーム一極集中」で、ここは細々と営みを続ける九州の馬産地を応援したい。熊本の阿蘇は軍馬の養成で有名で、日本の馬産はもともと軍馬養成だから、本来なら王道だ。ディープインパクトなどとは比べ物にならないくらいの安い種付料(中には無料の馬もいる)の馬を大事な繁殖牝馬につけて大切に育てる生産者を応援したい。こちらは全力で愛を込めて単勝。
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