大企業、スタートアップを"つなぐ"KDDI ニュースアプリ「グノシー」の直接出資は別格?

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シリコンバレーの情報も随時収集

江幡ラボ長 海外はKDDI研究所の拠点があるシリコンバレーを中心に、現地のベンチャーキャピタルのネットワークに入り込んで投資対象を調査している。米国は多様なサービスが生まれており、有望な企業の出始めを狙う。

東京にも随時情報は入ってくるし、ミーティングも週1~2回やっている。中には短期間で決めなければならない案件もあるが、最速2週間で決める仕組みも整えている。スピード感をもってやらないといけない。

――13年12月以降、ニュースアプリ「グノシー」に追加出資し、持ち分適用会社化した。役員も派遣している。これはファンドではなくKDDI本体からの出資で、金額は10億円とも言われる。投資の背景は?

高橋専務 ファンドは投資の上限額や比率などがルールで決まっており、少額出資が基本だ。グノシーの場合は出資比率が少し高かった。アーリーステージではなく、ミドルステージの会社なので、われわれが直接投資している。あまり目立ちたくはなかったのだが。ニュースなどを提供するサービスは多くのユーザーにリーチできる。そうした新しいユーザーとの接点が大事だと思ったからだ。

――ほかの会社と異なり、直接のシナジーが薄いようにも見えますが。

高橋専務 そのあたりはいろいろな思いもあるので、まだ出し惜しみというところかな。現在、auユーザーは4000万人だが、ドコモとソフトバンクのユーザーも1億人以上いる。au以外の接点を持つことが大切だ。

グノシー出資の狙いは「おいおい分かる」

グノシー出資の狙いについては「いろいろな思いもある」と終始”あいまい”だった。

――それにしてもKDDIの投資案件の中では出資額が大きいのでは。

高橋専務 巨額ですかね?そのあたりはぼちぼちと。ただ、ある程度の加入者が集まったところでマス広告を打つと、キャズム(先進的なユーザーと一般的なユーザーの間の溝)を超えていく、という現象があちこちで起きている。これはゲームもそうだし情報サイトもそう。グノシーもそうだ。

投資したおカネはテレビCMなどマス広告に使い、百万単位のユーザーを獲得することができた。また、ロゴのスタイルを変え、ユーザーインターフェース(UI)もライバルの「スマートニュース」に近いというか、使いやすい形に寄せたことで、あっという間に伸びた。今は1ユーザーあたりの獲得コストがものすごく下がっている。このようなマス広告を強烈にやるためには資金が必要だった。

ニュースアプリでは、ほかに写真をメインにしたサービスなどもあるが、落ち着かず、多くの記事を読むのは難しい。グノシーはUIこそスマートニュースに似せたと揶揄されるが、良いところを取り入れて、かつ、得意とする、個人の属性に合ったものを提供する強みを追及しているのはよいのではないか。投資の背景についてはおいおい、少しずつわかるようになると思います。

(撮影:今井康一)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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