大企業、スタートアップを"つなぐ"KDDI

ニュースアプリ「グノシー」の直接出資は別格?

――連携する13社は超大手ばかり。どのように賛同を得たのか?

高橋専務 「大企業とスタートアップのマッチングを取りたい。ぜひスタートアップが一歩上に上がれるようなアセットを提供してほしい」と、無限ラボのイベントなどに参加している企業を中心に声をかけた。各社とも「とりあえずやってみよう」と前向きだ。支援のインフラはKDDIが担当するので、参画しやすかったのだと思う。他社との競争というより、複数の会社で協力したほうが成功の確率が上がるなら、一緒にやろうと考える方が多いようだ。プログラムやイベントを通じて無限ラボ参加チームのよき相談相手になってもらいたいと思っている。

たかはし・まこと●滋賀県生まれ。横浜国立大学工学部金属工学科卒業。1984年4月京セラ入社。同年6月第二電電企画入社。2001年KDDI au商品企画本部モバイルインターネットビジネス部長。10年に代表取締役執行役員専務(現任)、 グループ戦略統括本部長を経て、11年に新規事業統括本部長に就任。

――参加チームのサービスが大企業のニーズに合わないこともありませんか。

高橋専務 逆じゃないかな。大企業側は「これをやりたい」というより、「こんな手助けができる」ということを考えている。既存の事業の延長線上でものを考えることはできるが、イノベーションを起こすパワーが足りないので、プログラムに参加して外部のパワーを取り入れようということだ。スタートアップにはアイデアと若さがある。そうした人たちと連携できることを望んでいると思う。

 今後も連携は増える

――新たなパートナー企業のメンター(助言者)はどのような形で支援をしていくのか?

江幡ラボ長 KDDIのメンターと同じレベルでやっていただく。第7期からは、外部のメンターも無限ラボの選考に参加する。しっかりベンチャーと向き合い、出し惜しみせず、社内のアセットを提供してもらえるようお願いしている。メンターの方々とお会いしたが、皆楽しみにしていて、かなり熱を持っている。コクヨさんなどは空間作り、ものづくり、商品のサポートなどを支援したいと言ってもらっている。

えばた・ともひろ●1993年DDI入社。移動体通信事業の営業企画部門を経て、2001年よりコンテンツ事業に携わる。NAVITIME、Google、GREE、 Groupon、Facebookなどとの事業・出資提携を手掛けた。12年に設立したファンドなど投資部門も担当。13年に無限ラボ長就任

高橋専務 政府の戦略でも大企業のスタートアップ支援は重要と位置づけられており、今後も連携は増えるだろう。こうした支援はCSR(企業の社会的責任)やブランディングにつながり、他社との差別化にもなる。少なくとも通信業界では一歩先の取り組みをやっていきたい。

そもそもKDDIだってベースはベンチャーだ。今でこそ大企業だが、僕が入社した時なんて社員は10人しかいなかったんだから(笑)。(高橋専務は1984年6月に第二電電企画に入社。第二電電(DDI)はKDDIの前身で、1985年の通信自由化に伴い通信事業に参入した新電電のひとつ)

――無限ラボのほかに、ベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund」(運用総額50億円)に続き、第2号ファンド(同50億円)を創設した。

高橋専務 無限ラボは草創期、アーリーステージのスタートアップが対象だが、ファンドはその先のミドルステージの有望企業に投資している。第1号ファンドは50億円の枠のうち、すでに30億円ほどを投資しており、パフォーマンスもいい。

2号ファンドでも方針は変わらない。ただ、どこにポートフォリオの中心を置くかといった議論は常にしている。当初よりO2O(オンライン・トゥー・オフライン)やBtoBtoCの領域が盛り上がっていたりするからだ。O2Oやeコマースなどは海外でも何社か投資してきた。タクシー配車サービスや子供向けの知育、iBeacon(近距離無線技術を活用してデバイスの位置情報を把握し情報提供サービスなどを行う機能)を使ったサービスを提供する企業などがある。

出資した企業の中には、auユーザーにサービスを利用してもらうなど、事業面のシナジーがでているところもある。「ルクサ」などのeコマースサービスは「auスマートパス」のタイムラインと連携してユーザーを送客している。6月に始めた電子マネー「auウォレット」のポイントプログラムと連携した形も検討中だ。

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