オープンバンキングを知らない人に伝えたい基本 銀行のデータを外部事業者は何にどう使えるのか

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ネットバンキングは何を可能にするのか? (写真:Rawpixel/PIXTA)
顧客の同意を得たうえで銀行が保有する顧客データを、外部の事業者が利用することが可能になった。
日本では、自動記帳や経費精算の自動化が可能になることが強調される。
これらも重要だが、さらに重要なのは、データドリブン経営が可能になることだ。もう1つは、銀行が持つデータをビッグデータとして利用できるようになることだ。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第47回。

銀行APIの公開による「オープンバンキング」

「オープンAPI」とは、金融機関が保有する取引データを、外部の事業者に開放することを指す。

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日本でも、改正銀行法が2018年6月に施行されたことによって、外部企業と金融機関のデータ連携方式をAPI経由で行うことが可能になった。

これまでは、金融機関とのデータ連携は、「スクレイピング」という手法で行われていた。

これは、顧客のIDやパスワード使用して銀行にアクセスする接続方式だ。しかし、IDやパスワードは、本来は顧客名義人のみが利用するものであり、スクレイピング方式は望ましいものではなかった。

API化によって、情報セキュリティーが高まる。また、処理スピードの大幅な短縮も可能になる。

これによってさまざまなことが可能になる。

外部の企業がこれを行うことを、「オープンバンキング」と呼ぶ。

こうした動きは、イギリスやEUですでに始まっている。

日本では、個人向けの家計簿サービスや、中小企業や個人事業主向けの会計サービスが行われている。

ではこれらによって何ができるか?

第1は、自動記帳だ。

零細企業や個人企業では、銀行のATMで預金通帳に記帳し、そのデータを見ながら手作業で作業している場合が多い。

しかし、金融機関とAPIで連携している会計ソフトを用いれば、こうした作業を、自動的にできる。

複数の銀行口座を持っている場合にも、口座情報を一元的に管理できる。AIで自動的に仕分けをする機能もある。

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