脱ハンコの先「都市のデジタル化」で来る大変化

日本で進む「スマートシティ」実現への取り組み

シンガポールなどのように都市のデジタル化を進められるのでしょうか(写真:kazukiatuko/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中の都市でロックダウン(封鎖)が実施され、経済活動に壊滅的な打撃を受けた。日本でも、企業のテレワーク導入が進み、学校ではオンライン授業、病院では遠隔医療が始まり、外食などのデリバリーも普及した。

その一方で、行政手続きオンライン化の遅れやハンコ問題などが表面化し、政府はデジタル化社会への移行を加速する。スマートシティ=都市のデジタル化はどこまで進むのか。

会津若松市で進めるデジタル化

「進捗状況を自己採点すると30点ぐらい。来年になっても、その点数は変わらないだろう。自分が生きている間に理想とするスマートシティは完成しないと思っている」

2011年3月の東日本大震災から5カ月後に、福島県会津若松市に乗り込んで、スマートシティのプロジェクトを立ち上げた、アクセンチュア・イノベーションセンター福島の中村彰二朗センター長はそう語る。

室井照平市長の全面的な支援を得て、欧米とほぼ同じ時期から取り組んできても、スマートシティの実現は容易ではない。

会津若松市の人口は約12万人。1993年にコンピューター理工学専門の会津大学が開校し、IT産業の集積も進みつつある。地元経済界が中心となってプロジェクトを推進する組織「会津地域スマートシティ推進協議会」を立ち上げて、住民主体の個人情報保護にも取り組んでいる。

さらに現時点では最も機能が充実しているアクセンチュアの都市OS「会津若松+(プラス)」を導入。LINE連携のAIチャットボットでの市民への情報提供サービス、モバイル端末決済サービス、除雪車の運行状況がわかる除雪ナビ、予防医療のためのヘルスケアサービスなど、市民生活に必要なサービスばかりを提供してきた。

その結果、会津若松+を頻繁に利用する市民は全体の20%に達し、9万人近い市民が一度は利用経験があるまでに浸透。今後のサービス拡充に備えて、都市OS上で利用できるデータセットも316種類まで整備を進めてきた。

しかし、デジタル化率が100%近いと言われるエストニアやデンマークなどと比較すると、自己採点30点は正直なところだろう。

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