脱ハンコの先「都市のデジタル化」で来る大変化

日本で進む「スマートシティ」実現への取り組み

日本でも1990年代後半に建設CALS/EC(公共事業支援統合情報システム)の導入が始まり、公共工事の竣工図面類の電子納品制度が導入されたが、紙の図面を電子化しただけ。

実際に3次元デジタル地図を作成するために、国土交通省が「国土交通デジタルプラットフォーム整備計画」を策定したのは2019年5月。2020年4月にプロトタイプのバージョン1.0が公開されたが、「実際の地図を整備するのはこれから」(国交省担当者)という段階だ。

国交省では、2020年7月にインフラ分野のDX推進本部を立ち上げた。これまで縦割りで作成されてきた都市計画図や道路基盤図などの地図を、重ね合わせられるように標準化する作業に着手したところだ。

地図作成の共通ルールとして、国の位置の基準を示す「国家座標」の普及を進める。国土の地表面は絶えず動いているため、人工衛星から国家座標の位置を測定してデジタル地図を自動補正する。

この仕組みを民間で整備しているデジタル地図も準拠することで、より正確な空間データが利用できるようになる。国土交通デジタルプラットフォームの本格運用は2023年度以降となるとみられる。

不動産にもデジタル化の波

インフラ情報を整備するうえでネックとなるのが、国土管理に必要な「不動産ID」の問題だ。不動産には、個別の住居表示や地番が付与されているが、重複している地域もある。

そのため、不動産IDを付与する必要性は以前から指摘されてきた。IDは不動産のインターネット取引などにも不可欠だが、ネット取引に当初は後ろ向きだった不動産業界からの強い反対もあって実現しなかった。

ここ数年、海外投資家や投資用不動産取引を中心に、ネット取引のニーズが高まってきたこともあって、不動産業界からも不動産IDの整備を求める声が出ている。2020年7月に閣議決定した規制改革実施計画でも、不動産IDを含めて不動産関連データの整備を同年度から検討することが盛り込まれた。

「これまでも不動産IDの整備に向けて、法務省に対して不動産登記データベースのオープン化を求める動きはあったが、法務省が応じなかった」という話も聞かれる。

不動産登記データには所有権や抵当権など、「権利部」に関する情報も含まれている。住居表示、地番、地目、地積などの「表題部」は、オープン化して不動産IDで管理できるようにしても問題はないと思われるものの、ハードルは高い。

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