オープンバンキングを知らない人に伝えたい基本 銀行のデータを外部事業者は何にどう使えるのか

✎ 1〜 ✎ 45 ✎ 46 ✎ 47 ✎ 最新
拡大
縮小

とくに重要なのが、入金や支払いの「消込」の自動化だ。

「消込」とは、実際の入出金情報と照らし合わせて、売掛金などの債権、買掛金などの債務の残高を消していくことを指す。入金と照らし合わせながら債権を消す作業を「入金消込」、支払いと照らし合わせながら債務を消す作業を「支払い消込」という。

インターネットバンキングを利用していれば、口座情報をダウンロードすることによって入出金内容を確認できる。しかし、入金消込のためには、入金情報と債権情報を目視で見比べて、金額と振込名義が一致したときに、それらを手作業で処理することが必要になる。これは面倒な作業だ。

この作業も、銀行APIの利用で自動化できる。

経費の精算処理では、帳票を添付して月末までに経理へ提出する。経費使用後すぐに経費精算の処理ができればよいのだが、つい後回しになってしまう。その結果、月末に大量の領収書がたまってしまう。

経理部門では、月末に大量の作業が集中する。このため、間違いが起こりやすい。

銀行APIの利用で、これを自動化することができる。

給与支払い事務が簡単に

ある人材派遣会社では、毎月数千人の派遣スタッフが稼働している。週払いや日払いにも対応しているため、毎月1万回を超える給与振込が発生する。

これまでは、派遣スタッフがタイムシートをFAXで会社に送り、それを受け取った支払い担当者がインターネットバンキングにログインし、該当する個人の振込先口座を指定して、支払金額を手作業で入力していた。手間がかかり、大変な労力を要していた。

これを、銀行システムと連携することで、申請の受理から振込までの作業を、完全に自動化した。銀行システムと連携したことによって、すべて自動で済むようになった。

確かに、以上は重要なことだ。

だが、銀行APIの利用は、これらにとどまらない。重要な利用は、2つある。

第1は、データドリブン経営を可能とすること。第2は、ビッグデータとして利用することだ。以下では、これらについて述べよう。

次ページデータドリブン:データを経営哲学より上位に置く
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT