2030年、老人も自治体も"尊厳死"しかない

湯浅誠×やまもといちろう リベラル対談(後編)

やまもと:僕は湯浅さんみたいな人が20万人いたら、いろんなことが解決すると思いますよ。でも私はウェブに毒されすぎてるのかもしれないけど、人間、そんな善意に動いてねえな、という気持ちもあったりするわけですよ。どこにインセンティブを置くか、目標はどうするのか、といったところでなかなか国民のコンセンサスは取れない。

湯浅:もちろん。だけど団塊の世代は65歳過ぎて、厚生年金を月25万円くらいもらっている。時間はあるけれどゴルフと海外旅行しかやることがないという人が、週1回ぐらい人の役に立つことをしたいと思っても不思議じゃないですよ。

やまもと:でも、いざ活動するとき、どんなことをするにしても、こちらがオーガナイズ(組織化)しなきゃいけないですよね。その方法を教える人も、PTAや町内会の役員と一緒で成り手がいない。

意識の高い人たちもいる

湯浅:そこは住民に働きかけたり募集したりして、10人、20人の活動単位をつくっていくしかない。

今、いろいろなところで「コミュニティービジネス」ということをしているのですが、「自分でNPOをつくる人になろう」というような3カ月の研修コースに、定年退職後のおじさんたちがたくさん集まっていますよ。

やまもと:でも実際の話、10人ぐらいのグループだって、それ相応のマネージメントが必要でしょう。それができずに赤字になっているところが多い。手弁当でもいいからやりたいと意気込んだところで、続けられなくて擦り切れるように辞めていく人がたくさん出てくる。

それに能力や参画意欲をどうやって醸成していくかということも、いろんな試みがあったけれど、これだというモデルケースがまだ見えていない。

湯浅:そうですね。それは私たちの責任ですね。

やまもと:たとえば湯浅さん、今ボランティアを何人使って活動されていますか?

湯浅:プロジェクトによって全然違います。例えば、今やってるひとつのプロジェクトに関わっているのは、10人ぐらいですかね。

やまもと:なるほど。そういう人が全国津々浦々にいなきゃいけないわけです。例えば、だいたいリーダー1人が10人のボランティアをマネージするとして、300万人のボランティアの活動を運営するには30万人のリーダーがいる。その30万人のリーダーを地域で収容する10人のグループが3万グループ必要です。

そうなったとき、10人の所帯を束ねる3万人を養成してグループを全国で立ち上げるのは大変ですよ。会社で人を使った経験がある方はたくさんいるでしょうけど、社会起業はビジネスよりもっとしんどいですから。

湯浅:私もそう思っています。

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