セレクトショップがモールに出店するメリットは?
では、高感度なブランド側は、どのような目的でショッピングモールに出店するのだろうか。
ユナイテッドアローズは今年25周年を迎える老舗セレクトショップだ。店舗開発部部長の長南貴士さんによると、立ち上げた当初は客層をかなりセグメントし、ブランドロイヤルティを保つために「全国で24店舗まで」という出店の制限をかけていた。その限られた客層が「卒業していく」、あるいは「入り口から入ってこられない」という問題が年々生じてきた。
「卒業していく」客とは、たとえば結婚して子どもができ、財布のひもが固くなった人たちだ。それでも独身時代と同じように高感度な服を着たいというニーズがある。「入り口から入ってこられない」客とは、そもそも店舗数が限られているので接点が少ない。
そこで、「ユナイテッドアローズよりも少しお求めやすい価格のブランドを立ち上げ、より幅広いお客様に認知していただくためにショッピングモールや駅ビルに出店しました」(長南さん)。それが、グリーンレーベルリラクシングである。
ユナイテッドアローズの平均単価は約1万7000円、グリーンレーベルリラクシングは9000円。高感度はそのままに約半値だ。ユナイテッドアローズはメンズとウィメンズのみだが、グリーンレーベルリラクシングは、ファミリー層に向けて、メンズ、ウィメンズ、キッズに分けた。さらに、メンズとウィメンズはスーツやジャケットなどの「ドレス」以外に、新たに「カジュアル」を作った。
「2000年の立ち上げから15年で約60店舗を出店。今や、ユナイテッドアローズの中でいちばんの稼ぎ頭になっています」(長南さん)。
ブランドを卒業した人の受け皿と、ブランドへの入り口を作る。セレクトショップがショッピングモールに出店するのは、こうしたメリットがある。
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