ついに施行された国民投票法、今こそ「憲法9条は改正しない」と国民投票で決めるべき!
5月18日、国民投票法すなわち「日本国憲法の改正手続に関する法律」が施行された。ちょうど3年前の5月18日に本法は成立し、3年後から施行されたということだ。これにより、憲法改正に賛成か反対かをわれわれ日本国民が投票できるようになったのである。
筆者は、3年前に本法の担当だったこともあり、国会の内外でさまざまな議論を行ってきた。私見は端的に、「憲法の議論はみんなで行うべき」というものだ。
一部では「憲法改正の議論を行うこと自体にも反対」といった考え方もあるが、筆者はそうは思わない。憲法ができて63年。還暦を過ぎている。見直すべきところは当然、見直すべきだ。特に、第9条と前文は、日本と世界の平和のあり方を定義するところであり、深く広く議論すべき箇所だ。
まったく進んでいない政府の施行への準備
さて、前述のとおり、国民投票法は施行されたのだが、施行令や施行規則が5月14日に公布されるなど下位法令の準備は行われているようだが、施行準備が十分なされているとはいいきれない。筆者は、国会で施行準備の遅れについて問題を指摘し続けてきたが、政府は対応を行ってこなかったのである。
とりわけ、筆者らが書いた参議院特別委員会による「18項目の付帯決議」については、対応がまったく行われていない。付帯決議では、国民投票の対象範囲の検討、最低投票率の設定、公務員や教員の運動に対する規制のあり方などを施行までに検討すべきだとした。これらは憲法改正という日本の基本設計を議論するのに不可欠な項目である。
18項目の付帯決議(法律運用取決)を一部抜粋してみよう。重要なものは以下のような事柄だ。
一、憲法審査会において本法施行までに最低投票率制度の意義・是非について検討を加えること。
一、国民投票の結果告示においては、棄権の意思が明確に表示されるよう、白票の数も明示するものとすること。
一、憲法改正の重要性にかんがみ、憲法審査会においては、国民への情報提供に努め、また、国民の意見を反映するよう、公聴会の実施、請願審査の充実等に努めること。