作家が明かす「映像版へ安易な口出し」がNGな理由 「製作委員会方式だから駄作になる」はホント?

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映画ファンの間でささやかれる「日本映画は製作委員会方式だから駄作になる」という噂。その実態とは? (写真:andresr/iStock)
「万能鑑定士Q」「高校事変」「千里眼」といったミリオンセラー・シリーズで知られる、松岡圭祐氏が新書『小説家になって億を稼ごう』を上梓した。同書内で松岡氏は「億を稼いだ作家たち」が実践してきた、一般的に知られていない手段を解説、知られざる業界の真実についても次々に明らかにしていく。本稿では『小説家になって億を稼ごう』を一部抜粋し再構成のうえ、映画ファンの間でささやかれる噂「日本映画は製作委員会方式だから駄作になる」について、実態を紹介する。

製作の権限を持つのは「製作幹事会社」

「日本映画は製作委員会方式だから駄作になる」という主張をよく耳にします。複数のスポンサーが口出しするので、支離滅裂な映画ができあがると言われます。

しかしこれは事実ではありません。このように考える世の映画ファンは誤解しています。複数の企業が製作委員会に名を連ねていても、事実上の製作の権限を持つのは、最も出資額の多い「製作幹事会社」のみです。近年になりクレジットにも「製作幹事」と書かれる場合も出てきました。

この製作幹事会社がテレビ局だったりすると、映像メディアの専門企業であることもあり、ほかの出資各社はもう文句が言えません。実質的に幹事会社テレビ局のプロデューサーへの全権委任状態です。

制作会社や配給会社が出資に参加し、製作委員会に加わっている場合もありますが、舵取りはすべて製作幹事会社が行います。会議が開かれても、最も多く出資している企業が決定権を握るのは自明の理です。

原作を出版している大手出版社は、製作委員会への誘いを受けますが、昨今ではこれを理由に参加しないケースも増えています。製作幹事でなければ意見を通せず、ヒットしなければ損失を被るだけのため、かえって「原作の版元」の強みのみを盾に主義主張をしたほうが、製作委員会に影響を与えられるという考え方です。

出版社がより多額の出資をし、製作幹事になるというのはどうでしょう。しかしテレビ局は「製作幹事でなければ降りる」と言いだします。宣伝に大きな力を有するテレビ局が製作委員会を去るのは痛手でしかありません。結局はテレビ局の要求をのむことになります。

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