万全な体調のための「脱プラスチック」のすすめ 「身の回りの化学物質」が私たちに与える危険性
多様な機能を調節するホルモンが化学物質によって攪乱されてしまうと、私たちのからだは体重増加、代謝疾患、不妊、特定のがんなどのさまざまな症状を起こしやすくなる。
発育期にある若者の場合には、生涯にわたる影響が表れやすい。そのなかには生殖器異常、子宮内膜症、思春期早発症、喘息、免疫不全、ADHD(注意欠陥・多動症)なども含まれる。こうした内分泌攪乱物質の一般的な隠れ場所は、プラスチックだ。
現代社会はプラスチック天国
毎日の暮らしは、サイズもタイプもさまざまなプラスチック製品で溢れている。
私たちの身近にあって、詳しい研究が進んでいるプラスチック化合物と言えば、ビスフェノールとフタル酸エステルだ。大雑把に言って、ビスフェノールはプラスチックを硬くし、フタル酸エステルは軟らかくする。
ビスフェノールは家具や哺乳瓶、缶詰の内側のコーティング、プラスチック製のフォークやスプーン、筆記用具などに使われている。また、感熱紙タイプのレシートにたっぷりと付着している。
一方のフタル酸エステルが使われているのは、使い捨てペットボトル、テイクアウト用の食品容器、プラスチック製の収納ボックスやタッパーウエアなどだ。合成香料として洗浄剤やパーソナルケア製品に添加されていることも多い。
ビスフェノールのなかでも特に一般的なビスフェノールA(BPA)は、食品容器や再利用可能なウォーターボトルに使われている。BPAを使った製品は廉価で洗浄しやすく、壊れにくく、耐熱性がある。
BPAは私たちの生活を満たしていったが、市場に十分投入されたあとになって、環境ホルモンとして有害性が明らかになった。
20世紀の初め、研究者たちは、生理痛、ほてりなどの更年期障害の症状や、つわりなどの妊娠の初期症状を緩和し、流産防止に役立てるために、ホルモンの代替物質を探していた。
1930年代半ばに、ロンドン大学のエドワード・チャールズ・ドッズがその候補となる化学物質を見つけ出した。それがBPAであり、女性ホルモンのエストロゲンの作用を模倣することが期待された。
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