ウォール街は、法改正による規制だけでなくカジノ的体質の改善こそ必要

米国連邦議会は、1930年代の大恐慌以来、最も抜本的な金融制度改革の最終的な仕上げの段階に入った。

しかし、どんな法改正よりも大事なのは、世論だ。過去20年間にわたり、強欲とリスクの度合いを高める行動が徐々にウォール街(米国金融界)を支配するようになり、2008年に世界の金融システムを危うく破壊しそうになった。世論は、この体質の改善を求める方向へと変化してきている。

画期的なデリバティブ規制

法改正の大筋は明らかだ。

(1)デリバティブ取引に関する「クリアリングハウス」(決済機関)を設け、ミステリアスでリスクの高い取引の透明度を高める。現状では、企業自身が財務諸表の中で情報を開示しないかぎり、デリバティブ取引の収益性に関する情報は入手できない。デリバティブ市場は、98年の29兆ドルから現在は500兆ドルを超えるまでに拡大した。にもかかわらず、トレーダーのリスク・エクスポージャー(リスクにさらされている度合い)は、誰もわからない。証券取引委員会(SEC)が証券ブローカーおよび取引を規制することによってデリバティブ取引を規制する、という案が提唱されている。

(2)破綻した巨大銀行に対する処理権限。連邦議会は、税金を使って破綻銀行を救済し生き残らせるよりも、むしろ規制当局の権限を強化し、銀行自身の出資による特別基金を活用することにより、破綻した巨大銀行を清算する方向へと傾いている。

(3)銀行がリスクの高い資産取引に携わる機能を制限し、ヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンドを所有したり、出資したりすることを禁止する。そうすると、米国の金融制度はある程度、グラス・スティーガル法の時代に戻ることになる。同法は、商業銀行と投資銀行とを厳格に区別するものだった。

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