「なんちゃってSDGs」企業が陥っている共通のわな 売り上げと利益の追求でたどり着いた世界とは

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「でも、結局は、ビジネスの目的はお金儲けだよね……」。そう思われる方も多いでしょう。 

企業の社会的責任が問われて久しく、本業とは別に社会貢献活動を行うCSR、そして最近ではSDGsに取り組む企業が増えてきました。とてもいいことです。しかし、「利益を出し、雇用をつくり、経済を回すことが、一番の社会貢献だ」という言葉を盾に、売上・利益の最大化を目的とするビジネスの本質は変わることはありませんでした。

その結果が、今ここにある大量生産・大量消費・大量廃棄の世界。たしかに経済の拡大とともに、生活は豊かになり、欲しいものは何でも手に入る時代になりました。外に出れば24時間営業のお店がある。欲しい時に欲しいものを食べ、好きな服を買える時代になりました。次から次に新しい商品やサービスが生まれ、衣食住がそろった便利な社会になりました。

ビジネスが引き起こしてきた問題の数々

でも、私たちは幸せになったのでしょうか?

『9割の社会問題はビジネスで解決できる』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

産業活動の発展と引き換えに、二酸化炭素の排出量は増え続け、産業革命前に比べて大気中のCO2濃度は40%も増加。深刻な地球温暖化を招いています。繰り返し起こる異常気象や感染症の拡大など、私たちの暮らしにも大きな影響が出始めました。

そして、広がり続ける所得格差。日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあると言われています。増え続けるひとり親世帯の貧困率は約50%に上ります。

5人に1人が生涯のうちに何かしらの精神疾患、15人に1人がうつ病にかかると言われています。日本人の若年層の自殺率は世界でトップクラス。15歳から39歳の死因の第1位が自殺という悲しい事実。

「衣食住足りて、不幸せ」になってしまってはいないだろうか?

人々の生活を豊かにしようとしたビジネス。いま改めてその目的に立ち返る時です。包丁は、愛する人においしい料理をつくるためにも使えれば、人を傷つけることにも使えるように、すべては使い方次第です。経済発展・効率の追求をするあまり、たくさんの人を置いてきぼりにしてきたビジネスを、今度は「誰一人取り残さない社会」をつくるために使う。ビジネスの使い方を変える時がきました。

ビジネスが引き起こしてきた問題は、ビジネスが変わることで解決できる。今こそ、ビジネスの真の価値が問われる時です。

田口 一成 ボーダレス・ジャパン社長

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たぐちかずなり

1980 年生まれ。福岡県出身。早稲田大学卒業後、株式会社ミスミ(現・ミスミグループ本社)を経て25 歳で独立。ボーダレス・ジャパンを創業。世界15 カ国で40 のソーシャルビジネスを展開。従業員は約1,500名、グループ年商は55 億円を超える。さまざまな社会問題をビジネスで解決する同社は、「グッドデザイン賞」「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞。個人としても、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」や日経ビジネス「世界を動かす日本人50」などに選出されている。『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』など、メディア出演も多数。

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