歴史を見ればここからが本当のバブルになる

りそなAMのエコノミスト・黒瀬浩一氏に聞く

長期金利の上昇でふらつくアメリカの株価。3月6日はとりあえず上昇した(写真:Bloomberg)
コロナ危機のさなかに上昇を続けてきた株式市場。バブルなのかバブルではないのか、意見が分かれている。今年に入って長期金利の上昇による市場の動揺も起きている。りそなアセットマネジメントのチーフストラテジスト兼チーフエコノミストの黒瀬浩一氏は、「まだこれからバブルが成熟していく」とみる。

――2月末からの長期金利の上昇による相場の下落をどう見ますか。

景気回復を織り込んで長期金利が上昇し、金利敏感セクターから景気敏感セクターへのシフト、おおまかにいえば、グロース株からバリュー株へのシフトが起きている。金融相場から業績相場への移行期にはいつも起きることなので、悲観することはない。ただ、今回はコロナ禍によって恩恵を受けるグロース銘柄は大きく上昇し、コロナ禍で打撃を受けたバリュー株は大きく下落したため、グロース株とバリュー株の比率を見ていると、もう少し調整に時間がかかる可能性がある。

――現在のアメリカ株を軸とした世界的な株高はバブルなのかそうでないのか、意見が分かれています。

パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長は「バブルかどうかは後になってみないとわからない」と言っている。グリーンスパン元議長もそう言っていたわけで、これはFRBの共通認識といってよい。

株価については3つのシナリオがあるが、ワクチン接種が始まった今のアメリカの状況からすると、消費者心理が低迷したまま株価が崩れるという可能性は低いだろう。ワクチンの普及で消費者心理が大きく回復し、消費が活発化するというシナリオが実現する可能性がある。その原動力は積み上がった巨額の預金だ。3つめのシナリオとしてその中間も考えられる。

リーマンショックの時はアメリカの名目GDP(国内総生産)がショック前の水準に戻るのに3年かかって、株価は5年かかった。今回は株価が早く戻った。ではGDPはどうか。パウエルFRB議長やIMF(国際通貨基金)のエコノミストは経済成長率が下方屈折する、潜在成長率が下がると言っている。ところが、そうはならずにコロナ禍からの回復後もさらに伸びていくという可能性を市場は織り込み始めている。

アフターコロナの夢物語が語られはじめた

私は株価については、むしろここからバブルが膨らむと思っている。

なぜかといえば、昨年からコロナ禍の中で多くの新しい言葉が市民権を得てきた。例えば、オンライン診療やオンライン教育、情報銀行、データコンサルといったIT化に関連した言葉。あるいはESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)に関連したグリーンリカバリー、脱炭素、グリーンプレミアムなどの言葉、さらに、資本主義・社会をめぐってもサステナブルとか公益とかが問題にされ始め、暗号資産、ジョブ型雇用などの新しいテーマが出てきている。

こういう、新しい言葉が次々に出て世の中が変革期にあるときには必ず儲かっている会社がある。日本では悲観的な見方をする人も多いが、アメリカでは夢を持って新しい時代が来ると語っている人が多い。そしてそういう雰囲気はバブルに結びつきやすくなる。

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