歴史を見ればここからが本当のバブルになる りそなAMのエコノミスト・黒瀬浩一氏に聞く
以前からあったIT関連の技術が、コロナ前は過激すぎてすぐには普及しないと思われていたが、コロナで一気にドアが開いた、だから経済は成長していくというのが強気派の見方だ。これを受けてNASDAQが先行して上昇してきた。
アメリカは中小企業経営者の景況感指数も強くて、設備投資意欲もある。どうも、現在は将来へ向けた大チャンスだと思っているようだ。去年の11月、12月は好況期のピークぐらい高かった。
昨年の景気対策や給付金ですでに個人所得はコロナ前の水準を上回っているのに、また、アメリカは1人1400ドルの給付金を追加する。なぜそこまでやるのかと考えると、国全体として需要が大きく伸びれば供給も増えるという発想があるのだろう。
アメリカも含めて世界中で供給力が弱っているので、ます、需要を押し上げれば、企業が供給力を増強する。そうすると、欧州などよりも先に売り上げが回復するといった強気の発想だ。
夢のストーリーにお金を流す仕組みができる
――過去のバブルとの比較を行った表(次ページ)は面白いですね。
バブルには長い歴史があり、チャールズ・キンドルバーガー、ジョン・ケネス・ガルブレイス、ハイマン・ミンスキーなどが研究成果を残している。これらから過去のバブルと現在の状況とを比較してみた。
まず、①危機がおきて、②恐怖が高まり、政府や中央銀行が危機対応をやりすぎることで、バブルが発生するというのが、近年はパターン化している。③金融政策と④財政政策を行うが、財政政策は相対的に機動性がなく、後には財政再建が課題となるため、金融緩和に過度な負担が掛かることが常態化している。
また、⑤の過度な楽観で夢物語が膨らみ、⑥投機対象ができる。⑦先導セクターがあるのも特徴だ。現時点で⑤~⑦はまだ、始まったばかりだ。⑧の金融の技術革新では、昨今のFIRE(早期リタイアへ向けた資金作り;Financial Independence, Retire Early)ブームやSPAC(特別買収目的会社;Special Purpose Acquisition Company)の空箱、投資アプリのロビンフットなどに行きすぎ感は出ているが、まだ、ゲームストップ株の仕手戦のように一時的に終わる程度と評価できる。バブルになるとSPACで買われた会社が実体のないものだった、なんていうことになる。
――ESG、SDGsは欧州に始まって先進国の政府や中央銀行が旗を振っていますから、異様なブームになりつつあります。
後からESGバブルと名前が付くんじゃないかと思うほど、お金が流れている。夢のストーリーが作られて、お金を流す仕組みができる、皆が買っていく、この流れができたらバブル。
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